【技術】東京大学、培養した筋肉2本で駆動する人工関節を開発
東京大学生産技術研究所教授の竹内昌治氏らは2014年10月24日、組織培養した筋肉2本を対になるように配置した人工関節を世界で初めて開発したと発表した。同氏らは将来的に、筋肉で駆動するロボットや、人体内へ移植できる筋組織の開発が期待できるとしている。

人工関節は、骨格にアクリル樹脂(PMMA)を用い、関節部分の表裏に、対称に筋肉を接続した構造をしている。一方の筋肉に電気刺激を与えて収縮させると関節はその方向に曲がり、反対側の筋肉は引っ張られて伸びる。逆に反対側の筋肉に刺激を与えて収縮させると今度は関節が伸びて、さらに逆側に曲がっていく。
このように筋肉が対になって互いに引っ張り合う「拮抗構造」を持つ人工関節は世界で初めてだという。この構造は、長期間にわたって駆動させられるという利点がある。培養した筋組織は、時間の経過と共に萎縮し、駆動しなくなるといった問題があった。これを2本の筋肉が対になる構造にすれば、筋肉が萎縮しようとしても互いに引っ張り合って縮まないため、長持ちする。実験では、48時間経っても筋肉の収縮度合いはほぼ変わらず、2週間が経過しても収縮性を維持できた。
今回、筋肉の培養にはラット由来の筋細胞を使用しており、長さ約8×幅約4×厚さ約1.5mmの筋肉を2本作製した。(佐藤)