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 今回から、本連載の6カ国目として、マレーシアのものづくり現場についてレポートしていく。

 2014年10月下旬、千葉県の幕張メッセで開催された「国際プラスチックフェア(IPF)2014」では、マレーシア貿易開発公社(MATRADE)の支援でマレーシアの金型企業10社がブースを出展した。筆者はMATRADEの要請を受け、IPF会場近くのホテルで「マレーシアの金型産業が日本市場へどう参入すべきか」について講演をした後、参加者と討議を行った(図1)。

図1●マレーシア貿易開発公社の支援で来日したマレーシアの金型企業のメンバー
「国際プラスチックフェア(IPF)2014」に10社が出展した。同国の金型企業がIPFに出展するのは初めてのことである。
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 その中で明らかになったのは、彼ら(金型などの基盤産業)にとって現在の最も大きな課題は「マレーシアには(基盤産業の)市場がなくなりつつあること」である。実はマレーシアの金型業者が同国の支援を受け、日本の展示会に出展するのは初めてのことだ。つまり、今までマレーシアは日本に対して営業活動をしてこなかったのである。その背景を、過去のマレーシアの基盤産業の変遷に見てみよう。