PR

デザイン視点でのアプローチ

 デザインマネジメントは、こうした状況において特に効果的である。これまでのやり方の改善ではなく、新しいやり方を生み出すための手法だからだ。「今までのやり方を、よりうまくやる」ことで現状を打破できないのであれば、「やり方そのものを変える」しかない。そのときにデザインマネジメントが役立つ。

 デザインにそんな力があるのだろうか? 皆さんは疑問に思うかもしれない。実は私もそうだった。私は技術者ではなく、大学院では経営学を専攻した。デザインとなじみが薄い点では皆さんの多くと同じだと思う。

 メルセデス・ベンツ日本やアクセンチュアの戦略グループで仕事をした後、鳴海製陶(本社名古屋市)の取締役を務めていた時に、私は約20人のデザインチームを所管することになった。その時の率直な感想は「困ったことになった」というもの。「デザインの勉強をしたこともないのに、デザイン担当役員が務まるのだろうか」と思った。

 この感想そのものが、デザインを極めて狭義の範囲でしか捉えていないことの証左である。「デザインとは色と形を決めること」だという考えに捉われ、美術的なバックグラウンドがない自分には担当するのは難しいと考えていた。しかし、デザインマネジメントという手法を知ってから大きく変わった。意匠デザイナーでなくともデザインマネジメントを実施できるのだ。デザインとものづくり、もっと言えば経営はほぼ全ての領域にわたって分かちがたく重なり合っている。ぜひ、技術者もデザインマネジメントの指揮を執ってもらいたいと思う。以下、デザインマネジメントの具体的なプロセスを紹介したい。