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組織・チームをデザイン

 デザインマネジメントのカバー範囲は極めて広い。

 図1に、新商品開発のプロセスにおけるデザインの対象を示した。ここでは便宜上、左から右への一方向の流れとして描いているが、実際のプロジェクトでは何度もコンセプトのデザインをやり直したり、組織・チームのデザインに立ち戻ったりする必要がある。大切なことは、デザインの対象となる領域が、意匠デザインにとどまらず、その前後に大きく広がっていることを頭に入れることだ。

図1●新商品開発プロセスにおけるデザインの対象
商品だけではなく、組織・チーム、コンセプト、顧客との接点、顧客の体験・ソリューションなど、デザインの対象は広範に及ぶ。
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 最初にデザインの対象になるのは組織・チームである。組織・チームのミッションの設定や人選、付与する権限に加え、どれくらいの時間軸でミッションの達成を求めるかなどがデザインすべき内容である。わざわざデザインと呼ぶ必要はないと思うかもしれないが、組織・チームづくりに対して、それをデザインするという意識と意図が大切なのである。

 ここでの最大のポイントは、組織・チームのミッションの決定と、それを実現するための人材の選定であることに同意してもらえるだろう。中でも「誰と同じ船に乗るのか」という人選は、プロジェクトの成否を左右する極めて重要なデザイン事項だ。一方で前回指摘したように、縦割り組織の弊害が出やすいところでもある。そのため、ボトムアップではなくトップダウンによる決定が不可欠になる。人選の際、各部門が調整してメンバーを決める場合と、デザインするという意識と意図を持ってトップが決定する場合では、出来上がる組織・チームは大きく異なる。

 こうして組織を積極的にデザインすると、組織の特徴をトップがよく分かっているので、例えば「社内外の混成チームならば、ビジョンを共有する時間が必要となり、ミッションの達成に必要な時間は通常よりも長くなる」といった具合に個別の状況を配慮することができる。デザインするということは、こうした個別の状況などをきめ細かくくみ取っていくことでもある。

 多くの企業で、「デザインする」という積極的な意志に欠けるため、人員構成やミッションの特徴に配慮せず、意識や意図が曖昧なままに組織・チームが何となく出来てしまうケースが見受けられる。それで「イノベーティブな商品をつくれ」、「差異化した商品をつくれ」、「付加価値の高い商品をつくれ」などといった漠然とした題目だけが与えられているが、それはむちゃというものだ。