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 Si製のタイミングデバイスは、これまで温度変化に対する発振周波数の安定性が、水晶に劣るとされてきた。そのため、製品への搭載例は少なく、デジタルカメラや電子書籍リーダー、ウエアラブル機器、通信ネットワーク装置などの一部の機器に限られていた。しかし、MEMSの構造の見直しと、補償回路の改良によって、現時点では水晶と同等になってきている。さらに、今後、水晶をしのぐような性能を得られる見込みも立っているという。サーバーやスマートフォン、高速な無線通信機器、インフラ用通信装置など、市場が大きく、高クロックの信号処理が求められる領域に販路を広げていく。

 メガチップスは元来、任天堂のゲーム機向けの独自ICやデジタルカメラ向けの画像処理ICなどで成長してきた会社である。ところが、最近、この分野が振るわない。そこで現在、猛烈な勢いで、業態転換を図っている。今回の買収もこの一環だ。

 業態転換の方向性は2つある。1つは特定顧客に向けに特化したASIC一辺倒から脱却し、業界で汎用的に使える製品を拡充すること。もう1つは、縮小する日本のエレクトロニクス企業ではなく、世界中で製品を販売するグローバル企業に積極的に売り込むことだ。

 この手始めとして、2013年4月に川崎マイクロエレクトロニスを吸収合併した(表1)。これは、同社が得意としてきた通信やOA機器分野向けのASIC技術に加え、米国やインド、台湾の拠点やグローバル企業とのチャネルを得るのが狙いだった。

表1 メガチップスの最近の動き
表1 メガチップスの最近の動き
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 2014年2月には伊仏合弁のSTMicroelectronics社から映像伝送インターフェースであるDisplayPort事業を買収することを発表。こちらは、汎用的なインターフェース技術と、DisplayPortを採用するグローバル企業との窓口を得ることを狙った。台湾や中国のメーカーとのパイプを太くするため、同年4月に台湾Modiotek社の孫会社化も発表している。

 SiTime社の買収は、タイミングデバイスという汎用品の拡充が狙いだ。これまで構築した販路を通じ、自社の他の半導体製品とともにセットで売り込む。