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システムライフサイクルでの位置付け

 システムアーキテクチャーの構築方法を解説する前に、まず、システムアーキテクチャーの位置付けについて説明する。システム構築から、システムが使命を果たし、廃棄されるまでの過程を「システムライフサイクル」と呼ぶ。具体的には、企画コンセプト、要求定義、システムアーキテクチャー構築、コンポーネント設計・実装、テスト、運用・保守、廃棄という過程をたどる。

 システムアーキテクチャーの構築では、ユーザーの要求を満たすだけでなく、設計やテストのしやすさ、運用・保守に至るまで、システムライフサイクルすべてを見渡して考慮する。従って、システムに関わるすべての利害関係者からのシステムに対する要求を明らかにする必要がある。また、システムが動作する環境において、さまざまな制約が存在する。このように、ライフサイクルすべてにおいて問題ないようにシステムアーキテクチャーを構築する必要がある。

 ここで、上述のような要求や制約は、システムアーキテクチャー構築のインプット情報と呼ばれる。

インプット情報

 システムアーキテクチャー構築のインプット情報には、システムの利害関係者からの要求と、システムを取り巻く環境からの制約がある。要求と制約の詳細については、連載の第2回と第3回を参照されたい。ここでは、システムのインプットという観点でおさらいする。

 システムの利害関係者には、システムを利用するユーザー、システムをメンテナンスする人、システムのオーナー、開発者などがいる。それぞれの利害関係者からの要求は、分析工程を経て整理され、機能要求または非機能要求として定義される。

 システムを取り巻く環境には、法規や環境規制などの守らなければならない制約や、機能の特性(製品ライフサイクルなど)のような商品価値を優位に進めるための戦略に伴う制約がある。また、進化のスピードが著しいことによる技術的な制約や、セキュリティー対策などがある。さらに、ビジネスの観点で重要な製品・サービスのコストや納期、開発の人員、組織、グループ会社など、さまざまな制約がある。

 システム開発において、すべての要求と制約を満たすことが理想だが、要求や制約間にはトレードオフがあることが多い。その場合は、「どの要求や制約を優先するか」という判断が必要となる。システムアーキテクチャーの構築において、どのような場面で、どのような判断が必要になるかについては後述する。