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物理アーキテクチャーの作成

 論理アーキテクチャーは、物理制約を排除したアーキテクチャーである。物理アーキテクチャーは、この論理アーキテクチャーを基盤として、実際の「モノ」として構築したアーキテクチャーである。物理アーキテクチャーを構築する際のインプットとなる情報は、論理アーキテクチャーと、表1のカテゴリーに示した非機能要求および制約である。図12のように、論理アーキテクチャーに対して非機能要求や制約を考慮した物理的な要素を検討し、考えられる物理要素の組み合わせからトレードオフ分析を行い、最適な物理アーキテクチャーを決定する。

表1 非機能要求・制約一覧
表1 非機能要求・制約一覧
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図12 物理アーキテクチャー作成の流れ
図12 物理アーキテクチャー作成の流れ
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分離・集約軸を検討する

 論理的に分割された構成要素に対して、非機能要求や制約を加味すると、新たに分離した方がいい要素が見つかる場合や、まとめておいた方がいい要素同士が見つかる場合がある。「分離」と「集約」という観点で論理アーキテクチャーの再構成を検討する。

 車両盗難防止システムの例で、分離・集約を検討してみる(表1)。例えば、効率性を加味すると、キー照合から通知までは分離せずに1つの要素とした方がいい、という集約の検討があり得る。また、キー照合のように、暗号プログラムのメンテナンス性を考慮すると、その部分だけを書き換えられるように分離した方がいいという検討もできる。さらに、標準やオプションといった製品バリエーションを考慮すると、防犯警告を分離した方がよいことも分かる。

論理要素に対する物理要素の検討

 論理的な要素に対して分離・集約を検討することによって、論理的な要素に対する物理的な要素の検討が行えるようになる。ここでは、物理的な要素として、ハードウエアやソフトウエアといった具体的な要素への対応関係を検討していく。先の分離・集約の検討から、物理要素を検討した結果を表2に示す。

表2 論理要素に対する物理要素の検討
表2 論理要素に対する物理要素の検討
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 表2のように、ソフトウエアで実現する要素は、ハードウエア(CPU、DSP、EEPROMなどのデータ格納場所など)との対応を明らかにする。また、暗号部のように、調達する部分を分離してソフトウエアコンポーネントとして独立させることも、物理要素として明らかにするポイントとなる。さらに、既に利用できる資産がある場合、自動施錠/解錠のように「既存ソフトウエア」を利用する、といった検討も行う。