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SiパワーモジュールからSiC基板まで
アジア企業がパワー半導体に熱視線

 省エネ技術の重要度が増す中、そのキー部品であるパワー半導体事業に、日本以外のアジア企業も力を入れ始めた。現在は主に、SiのパワーMOSFETやIGBTを外部から調達し、パワーモジュールとしてパッケージングして販売している。中でも大手とされるのが、中国Starpower Semiconductor社だ(図A-1)。2012年に約5000万米ドルだった売上高は、2013年に6000万米ドルほどになったという。

図A\-1 アジア企業もパワー半導体事業に注力
図A-1 アジア企業もパワー半導体事業に注力
日本以外のアジア地域のメーカーもパワー半導体事業に力を入れ始めた。現在は、主に、Siのパワーモジュールの後工程(パッケージング)を行っている。一部の企業は、Siパワー素子の生産(前工程)も始めている。SiCにも関心を寄せており、基板の販売を始めている。
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 耐圧600~1700Vのパワーモジュールを販売しており、現在は3.3kV以上のモジュールの研究開発に取り組んでいる。産業用インバーター装置やUPS、風力発電システムや太陽光発電システム、鉄道などの分野に顧客がいるという。その大半は中国メーカーで、中国市場でのシェアを伸ばしているとする。同社によれば、2011年から2012年にかけて約2倍の4.6%にまでシェアを伸ばしたという。

 中国MacMic Science & Technology社も、Starpower社に並び中国のパワーモジュールメーカーとして「業界では有名」(あるパワー半導体技術者)である。同社は、パワーMOSFETを自社で製造し、それをモジュール化して販売している。IGBTについては外部企業から購入しているが、「IGBTもいずれ内製する」(同社)計画だ。

 テレビやエアコンなどに向けた整流器を主軸とする台湾HY Electronic社は、最近IGBTモジュール事業に力を入れる。耐圧1200V品を販売する。

 SiC事業を手掛けるアジア企業が出てきている。既にSiC基板であれば、例えば中国TankeBlue Semiconductor社や中国SICC社、韓国SKC社が製品化済みだ。「品質はまだ欧米や日本企業ほどではない」(パワー半導体技術者)ものの、安価なことが特徴だ。口径も4インチまでだが、口径6インチ品の開発にも着手した。

 低コストを武器にする新興企業が登場する中、先行するパワー半導体メーカーは生産効率の向上や、顧客の使い勝手向上につながる製品を出して対抗する。例えば、業界首位のドイツInfineon Technologies社は、パワー素子の製造で一般的な口径200mmのSi基板よりも大きい口径300mm基板の利用に力を入れている(図A-2)。生産効率を高めるためだ。2013年からsuper junction構造のMOSFETをドレスデン工場の300mmラインで量産。2015年には産業用IGBTも同ラインで製造開始する予定である。

図A\-2 生産効率の向上や顧客の使い勝手の向上を狙う
図A-2 生産効率の向上や顧客の使い勝手の向上を狙う
Infineon社は、口径300mmのウエハー(基板)による、Siパワー素子の量産に力を入れている(a)。一般的な200mmウエハーに比べて生産性が高まり、コスト削減につながるからだ。加えて、「TIM」と呼ぶ熱伝導材料をパワーモジュールにあらかじめ付けることで、ユーザーの使い勝手を高めた製品のラインアップ拡充も図っている(b)。(写真:(b)はInfineon社)
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 加えてInfineon社は、ユーザーの使い勝手を高めたパワーモジュールの製品開発に注力する。「TIM」と呼ぶ、パワーモジュールとヒートシンクを接合する熱伝導材料をあらかじめモジュールに塗布した製品である。TIMを塗布する手間を省けるので、海外企業を中心にTIM付きモジュールを求める顧客が増えているという。そこで、Infineon社はTIM付きモジュールのラインアップを順次増やしていく予定だ。