Automotive Report
目次
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焼成工程を5分程度に短縮
生産性10倍の炭素繊維の製造法
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は東京大学や産業技術総合研究所、東レなどと共同で、現在の製造プロセスより生産性を10倍程度に向上できる炭素繊維(CF)の製造法を開発した。30~60分かかっている焼成時間を約5分に短縮したのが特徴である。
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1人乗りEV使った屋外実験に成功
豊橋技術科学大学の走行中給電システム
豊橋技術科学大学は、走行中の電気自動車(EV)に無線で電力を伝送する(走行中給電)システムの屋外走行実験に成功した(図1)。電力を伝送する金属板を埋め込んだ「電化道路」から1人乗りのEVに給電する。2016年3月に実験を報道陣に公開し、10km/h程度のスピードで走行する様子を見せた。
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車載空調システムに向けて低コスト化
パナソニックの赤外線センシング
パナソニックは電動車両の空調システムへの適用を想定した、低コストな赤外線(IR)センシングシステムを開発した。低画素のIRセンサーを使ってサーモグラフィーのような高解像度の熱画像が得られる。乗員の状態に合わせた効率性の高い空調制御が可能になる。
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3秒以内に酒気帯び状態を検知
日立と本田技研の小型アルコール検知器
日立製作所と本田技術研究所は共同で、息を吹きかけるだけの小型アルコール検知器を試作した(図1)。運転者が酒気帯び状態であることを3秒以内で検知し、エンジンを始動できないようにする。両社は、飲酒運転による交通事故の防止に寄与できると見る。
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2020年の車載電池が見えてきた
スマートエネルギーWeek2016
電池やエネルギー関連の総合展示会「スマートエネルギーWeek2016」が2016年3月に、東京ビッグサイトで開催された。目立ったのは、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)向けの電池に関する取り組みだ。基調講演や展示の内容から、2020年ごろの車載電池の姿が見えてきた。主な話題は、エネルギー密…
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自動駐車、路肩への緊急停車を公開
アイシングループの運転支援技術
アイシングループ4社(アイシン精機、アイシン・エィ・ダブリュ、アイシン・エーアイ、アドヴィックス)は2016年2月、北海道・豊頃町のテストコースで技術試乗会を開催、自動駐車と路肩への緊急停止技術などを紹介した。
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新興国が再び成長を牽引へ
IHS Automotiveの世界販売台数予測
IHS Automotiveは、世界における自動車の市場調査の結果の一部を発表した。イランや中国、インドといった新興国市場が今後も成長を牽引すると予測する。また、日系メーカーが電動車の分野で主導権を握るには、プラグインハイブリッド車(PHEV)のラインアップ強化が必要とみる。
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強度、剛性の高い鋼製車体を軽く造る
住友重機械工業の車体成形システム
住友重機械工業は、自動車の鋼製車体を大幅に軽くできる成形システム、STAF(Steel Tube Air Forming)を開発した(図1)。鋼管をプレス機の金型にセットした後、通電加熱、高圧空気注入、成形、焼き入れの順に加工する。フランジの付いた連続異形閉断面の部材を高精度に成形できる。
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自動運転時代の要は都市管理
クルマの2050年を徹底予測するセミナー
2050年のクルマは、現在と全く異なる形になる可能性が高い。事業構造も大きく変わりそうだ。本誌が2016年3月に開催したセミナー「クルマの2050年を徹底予測」で、3人の識者が持論を披露した。
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インドを世界の開発・生産拠点へ
アジアものづくりカンファレンス
日経BP社と海外産業人材育成協会(HIDA)などは、2016年3月中旬にインド・チェンナイで、「アジアものづくりカンファレンス」を開催した。インドは、世界の開発・生産拠点を目指している。フランスRenault社・日産自動車グループの開発会社、ローム、オムロンなどが講演した。
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2017年に軽自動車に搭載
日本精工の世界最軽量コラム式EPS
日本精工は、従来比で13%軽くしたコラム式電動パワーステアリング(EPS)を開発した(図1)。シミュレーションで強度や剛性を見直し、主要部品を小型化した。質量は約5.0kgで、チルト機構付きタイプとしては世界最軽量という。2017年に軽自動車をはじめとして世界に供給する。
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無線基地局と連携し走行情報を共有
デンソーとドコモが自動運転で協業
デンソーとNTTドコモは2016年2月、自動運転を視野に入れた研究開発を協力して進めると発表した。LTEや第5世代(5G)の移動通信を活用し、高度運転支援や自動運転に応用可能な技術を開発する。無線基地局を介した通信により、車車間通信が困難な環境での走行情報の共有を目指す(図)。
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電圧降下を予測、低消費電力で高信頼
ルネサスの故障予測SoC
ルネサスエレクトロニクスは、車載SoC(System on Chip)の電圧が突然下がることを予測する技術を開発した。SoCの信頼性を高めつつ、消費電力を減らせる。2020年頃の実用化を目指す。
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大型ボディー部品を1分で作る
名古屋大学のCFRTP成形法
名古屋大学の「ナショナルコンポジットセンター(NCC)」は、CFRTP(炭素繊維強化熱可塑性樹脂)を用いた自動車の大型ボディー部品の成形に成功した。成形したのはフロアパネルとサイドシルの2部品で、いずれも量産車に適用するための目安である「1分程度の成形時間」を達成した。今後、他の部品の製造に取り組み…
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次世代電池向けに新しい要素技術
ALCAの電池分野新技術説明会
文部科学省が温室効果ガスの削減に向けて策定した研究開発戦略。その下で科学技術振興機構(JST)が推進しているのが「先端的低炭素化技術開発(ALCA)」だ。2016年2月、その開発対象領域の一つとされている「次世代蓄電池」の新技術説明会が開催された。東北大学や関西大学がリチウム硫黄(LIS)電池の実現…
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深層学習を「エッジ」で処理
トヨタ、NTT、PFNの「ぶつからないクルマ」
トヨタ自動車はNTT、Preferred Networks(PFN)と共同で「ぶつからないクルマ」の研究を進めている。NTTが2016年2月に開催した「R&Dフォーラム2016」では、ディープラーニング(深層学習)技術や分散コンピューティングの一つであるエッジコンピューティング技術を応用した…
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コスト下げてトヨタを猛追
ホンダが2モーターHEVを大幅刷新
ホンダは2016年2月、2モーター式ハイブリッド機構「i-MMD」を刷新し、ミニバン「オデッセイ」に採用した(図1)。「アコードハイブリッド」に搭載する従来品を改良し、コストを大きく下げた。主要部品を外注し、増産しやすい体制も整える。新型の4代目「プリウス」でさらにコストを下げたトヨタの2モーター式…
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グローバルで小型車事業を強化
トヨタがダイハツを完全子会社に
トヨタ自動車とダイハツ工業は2016年1月末、トヨタがダイハツを100%出資会社(完全子会社)にすることで合意した。完全子会社への移行は2016年8月1日の予定。トヨタは現在、ダイハツに51.2%を出資している。今回の合意を機に両社は、グローバルで小型車事業を強化する。インド市場の開拓が最大の課題に…
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自動操舵で衝突を回避
三菱電機の研究開発成果発表会
三菱電機は最新の研究成果を2016年2月に発表した。自動運転を支える技術として、緊急時に自動操舵する技術や、ディープラーニング(深層学習)の計算を簡単にする手法を披露した。
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米国向け変速機など関税即時撤廃
自動車分野へのTPPのインパクト
2015年10月に大筋合意に至った環太平洋パートナーシップ(TPP)協定。2016年2月にはニュージーランドで署名式が実施される見通しだ。自動車分野にとってその成果は「悲観視していた当初の予測よりも大きかった」(デロイトトーマツコンサルティング執行役員の羽生田慶介氏、表)。同氏はそのメリットを余すと…