Automotive Report
目次
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VW社やPSAグループに注目
「48Vハイブリッドシステム」セミナー報告
自動車分野に詳しいコンサルタントやジャーナリストなどが、2015年4月に開催された本誌主催のセミナー「48Vシステムはハイブリッドの主流になるか(第2回)」に登壇。ドイツVolkswagen(VW)社や仏PSA Peugeot Citroenグループなどの動向が、普及の鍵を握っていると指摘した。
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アンカー効果を使わずに接合
神戸製鋼所のAl合金と樹脂の一体成形技術
神戸製鋼が開発中の一体成形法は、Al合金をプレス成形などで目的の形状に加工した後、射出成形やインサート成形で樹脂と一体化するもの。Al合金の部品と樹脂の部品を、ボルトや接着剤を使わずに接合できる。対象となる樹脂はPP(ポリプロピレン)やPA(ポリアミド)、炭素繊維(CF)やガラス繊維(GF)で強化し…
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圧縮水素に比べて輸送効率10倍に
岩谷産業の液化水素工場
岩谷産業は2015年3月、千葉県の液化水素製造工場を報道関係者に公開した(図)。現在、市場で流通しているのは主に水素ガスを高圧化した圧縮水素であるが、同社は液化水素の方が輸送・貯蔵効率を大幅に高めることができるとみている。
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GF強化PP部品の代替を狙う
ダイセルポリマーのセルロース長繊維強化樹脂
ダイセルポリマーは、セルロース繊維強化熱可塑性樹脂の引っ張り強さを、従来品の約3倍に高めた。衝撃強さは従来品の約20倍である。自動車部品への採用を目指して、自動車メーカーや部品メーカーへのサンプル出荷を2015年夏に開始する。
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DC-DCコンバーターの性能を向上
アルプス電気と東北大学の新磁性材料
ハイブリッド車(HEV)や電気自動車(EV)の性能を左右する重要部材の一つが、DC-DCコンバーターに使うリアクトルだ。アルプス電気と東北大学はリアクトルの性能を高める、新磁性材料を開発した。
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水素ステーションを軽くする
新日鉄住金の高圧水素用ステンレス鋼
新日鉄住金と同社の子会社である日鉄住金ステンレス鋼管は、水素ステーションの配管や継手、バルブなどに使えるステンレス鋼の販売を強化する。従来材に比べて約2倍の強度があるため、配管などの薄肉化による軽量化やコスト削減が可能になる。
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軽量車体を走りに生かす
スズキの「アルトターボRS」
スズキは2015年3月、軽自動車「アルト」にターボモデル「アルトターボRS」を追加した(図1)。アルトで採用した軽量で高剛性の新プラットフォームを、走りを追求するターボモデルに生かすという方針で設計した。ターボチャージャーの応答性を従来比で20%高めている他、ねじり剛性を5%向上させている。
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学習するクルマ目指し、布石着々
NVIDIAの「GPU Technology Conference(GTC)2015」報告
米国のグラフィックスプロセッサー(GPU)メーカーNVIDIA社が2015年3月に米国で開いた開発者会議「GPU Technology Conference(GTC)2015」では自動車関連の講演が相次いだ。同社は自動運転に不可欠な部品として半導体製品を売り込む。目指すは機械学習により進化する自動車…
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EVバス市場で「チャンピオンになる」
山東沂星電動汽車の世界戦略
電気自動車(EV)バスの市場で世界一になる─。臆面もなく、そう言い切る男がいる。中国のEVバスメーカー山東沂星電動汽車で董事長を務める余達太氏だ(図1)。アルミニウム合金製の軽量ボディーを武器に、EVバス市場で頂点を目指している。
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クルマのIT化や部品共用化が必須に
デロイトトーマツの自動車産業セミナー
デロイトトーマツは2015年3月、自動車産業を分析する「ビジネスセミナー2015」を開催した。世界の自動車市場が拡大する中、部品の共用化やクルマのIT(情報技術)化、新興国市場への対応など、自動車メーカーや部品メーカーは多くの課題に直面している。自動車業界の専門家を交えて各メーカーの動向や戦略などを…
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自動化と人手を使い分け、柔軟性追求
ドイツBMW社のミュンヘン本社工場
「BMWグループが生産において、とりわけ重視しているのが、多様な車種を組み立てられるフレキシビリティー(柔軟性)だ。(需要が急減した)2008年秋のリーマンショックで、その重要性を痛感した」。ドイツBMW社で工場の生産企画を担当するStart-Up Strategy and Optimization…
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赤外線センサーで歩行者との衝突回避
アイシン精機と千葉工大の一人乗りモビリティー
アイシン精機と千葉工業大学未来ロボット技術研究センター(fuRo)は2015年3月、電動小型一人乗りモビリティー「ILY-A(アイリーエー)」を開発した。特徴としてはさまざまな用途に利用できる「変形機能」に加えて、自動ブレーキなど高い安全機能を搭載したこと。5年以内の実用化を目指す。
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トヨタのFCVとセルを供用
豊田自動織機の新フォークリフト
豊田自動織機が、関西国際空港の国際貨物地区で、燃料電池(FC)フォークリフトの実証実験を開始した。期間は2015年2月23日から2017年3月末まで。トヨタ自動車の燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」と同じFCセルを搭載するフォークリフトも実用化する。FCフォークリフトの普及がFCVの低コス…
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新興国への経済シフトは35年続く
PwCが予測する「2050年の世界」
「中国は2030年までに世界最大の経済大国になるが、長期的には成長率が世界平均に収束」「インドは2050年までに米国を抜き世界第2位の経済大国になる」─。コンサルティング会社の英PwC社が調査レポート「2050年の世界:世界の経済力シフトは続くのか?」で明らかにした予測だ(図)。
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チタン酸アルミニウム製で耐熱性向上
住友化学のDPF
住友化学は、ディーゼルエンジンの排ガスを浄化するDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)市場に本格参入する(図)。2015年内に欧州で乗用車向けのDPFの生産を開始する計画。耐熱性が1200℃以上と高いのが特徴だ。
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部品の共通化で品質向上
SchaefflerグループのDCT技術説明会
DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)用部品大手のドイツSchaefflerグループは2015年3月、技術説明会を開催した。DCTの品質向上のために、同社が取り組む部品の共通化などを明らかにした。
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販売増は最大で700万台
原油安の恩恵はどれほどか
IHS Automotiveは2015年3月、自動車業界関係者を集めた講演会を開催し、今後の世界経済や自動車市場の見通しを示した。原油価格の急激な低下が自動車市場に与える影響として、2015~2020年ごろまでの累計で世界販売台数を500万~700万台増やす効果があると予測(図1)。この値は世界販売…
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地場メーカー、攻めに転じる
東日本大震災から4年
東日本大震災から4年が経った。1万人を超える死者や9兆円を超える被害額を出した未曾有の災害は、東北の自動車産業にも大きな影響を与えた。今回向かったのは、津波が襲った宮城県石巻市。被災した部品メーカーが受けた傷は完治していない。だが、ようやく攻めに転じる姿がそこにはあった。
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自動運転の実用化は20年以上先
KPMG社の世界主要自動車メーカー調査
オランダKPMG社が、世界の主要自動車関連企業の幹部200人に聞いた調査レポートをまとめた。自動運転車の実用化については欧米で「21年以上先になる」との回答が最も多く、自動運転の実用化には時間がかかるとの見方が強まった。一方、今後5年間のパワートレーン技術への投資分野としては、「内燃機関の小型化」が…
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ドア開口部や閉断面化したい骨格に
再注目のレーザー溶接
車体の接合方法として、レーザー溶接が再び注目を集めている。背景にあるのは、車体の軽量化のさらなる追求だ。そこに、溶接装置の使い勝手や性能の向上が相まって、同溶接を見直す動きが出ている。その採用では欧州自動車メーカーが先行するが、日本の自動車メーカーも水面下では検討を進めている模様だ。