Automotive Report
目次
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三つの要因が迫る事業構造の転換
「2030年の自動車産業」セミナー報告
パワートレーンの多様化、クルマの知能化・IoT化、シェアリングサービスの台頭という三つの要因は、自動車産業をどう変えるのか。本誌が2017年2月に開催したセミナー「2030年、自動車産業はこう変わる」では、デロイト トーマツ コンサルティングのコンサルタント陣が将来の自動車産業の姿や、自動車・部品メ…
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2020年代に無人工場
ジヤトコの最新生産技術
ジヤトコは、2020年代に無段変速機(CVT)工場を無人にできる生産技術を開発する方針だ。人の五感に頼る作業を代替するロボットや多関節ロボットの汎用品などを多く導入して、自動化に力を注ぐ。さらに機械部品の工場では異例といえる清浄度の高いクリーンルームを設置し、品質を高める。
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信号もブレーキも見落とさない
STMicro社のCMOSイメージセンサー
伊仏合弁STMicroelectronics社が、“取り逃がしのない”CMOSイメージセンサーを開発した。「LEDフリッカー」と呼ばれる高速点滅(ちらつき)の抑制と、ダイナミックレンジの拡大を「世界で初めて」(同社)両立させた。2017年夏ごろにサンプル出荷を開始し、2018…
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運転者の好みを学習して提案
Nuance社の音声認識技術
次世代のユーザーインターフェース(UI)技術の一つとして重要視される音声認識。米Amazon.com社の音声認識・対話機能基盤「Alexa」の台頭が目立ち始めた。迎え撃つ格好となるのが、この市場でシェア首位を握る米Nuance Communications社である。同社が開発した「音声アシスタント」…
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部品メーカー主導の自動運転技術
オートモーティブワールド2017
クルマ技術の展示会「オートモーティブワールド2017」が、2017年1月に東京ビッグサイトで開かれた。ドイツContinental社やドイツBosch社など、海外の大手部品メーカーが自動運転を開発方針の軸とした基調講演を実施(図1、2)。自動運転化によって発生する課題の解決を商機に、部品メーカーによ…
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“ギガファクトリー”が稼働開始
Tesla社とパナソニックの世界最大工場
世界中に存在するあらゆる工場の中で最大となる巨大な工場がついに動き出した。
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Mobileyeを切り崩すかNVIDIA
画像認識と車載AIコンピューターの開発競争
自動ブレーキの中核技術である画像認識。新興企業ながら、同技術で世界を席巻するのがイスラエルMobileye社だ。ただ、独壇場と言える地位に陰りが見えてきた。人工知能(AI)による画像認識を開発する米NVIDIA社が、Mobileye社の牙城を切り崩しにかかる。自動運転に必須の画像認識と車載AIコンピ…
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車両などを示す枠をずらさず表示
コニカミノルタのHUD新技術
コニカミノルタは、ヘッド・アップ・ディスプレー(HUD)上で、車両や歩行者などの位置を示す枠(カーソル)を、運転者の視点が動いてもずれないように表示する技術「3D AR HUD」を開発した。2018~19年の製品化を目指したもので、自動車や1次部品のメーカーへの提案を進める。
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ワイヤーハーネスを10m削減
Linear Technology社の無線電池管理システム
米Linear Technology社は、2017年1月に東京ビッグサイトで開催されたクルマの総合展示会「オートモーティブワールド2017」で、電池管理システム(BMS)を無線化する技術「ワイヤレスBMS」を搭載したコンセプト車を展示した。
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価格の安いTiで大幅に高容量化
リチウムイオン電池向け新正極材
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熱効率41%の燃焼技術を共通化
トヨタ自動車のTNGA対応パワートレーン
トヨタ自動車は、同社独自の設計手法「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」に対応した新型パワートレーンを発表した。同社はこれまで、「プリウス」と「C-HR」でアンダーボディーの共通化を図ってきた。これらに加えてパワートレーンにも共通化の思想を拡大。生産性を高めて車両全体のコストを…
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工場内の専用ルートを無人走行
日産自動車の自動搬送システム
日産自動車は2016年12月に、同社の追浜工場(神奈川県横須賀市)で試験運用している完成車の自動搬送システムを公開した。工場内の生産エリアから専用埠頭まで、事前に設定した走行ルートに沿って無人で搬送する。完成車搬送の業務効率化を目指す。
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既存ディーゼルより熱効率20%向上
米Achates社の対向ピストンエンジン
エンジン開発を手掛けるベンチャー企業の米Achates Power社(API)は、一つのシリンダーの中で二つのピストンが向い合って動く「対向ピストンエンジン」の開発を進めている。既存のエンジンを超える効率を実現できる可能性がある。このほど日本で製品化のパートナー探しを本格化し、日本の報道関係者に開発…
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従来材よりも10~30%軽量化
米Cooper社のウインドーシール材
ウインドーシールやエンジンマウント、燃料・ブレーキなどの配管部品といった主にゴム製や樹脂製の部品を手がける米Cooper Standard社は、車両質量を最大で約7kg軽くできるウインドーシール材を開発した。新規開発した樹脂を使用することで実現した。
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白線を見失っても車線を維持
日立オートモティブシステムズの自車位置推定技術
日立オートモティブシステムズは、自動運転でカメラが白線を認識できない場合でも、車線を維持できる技術を開発した。カメラで取得した数秒から数十秒前の白線データを基に、制御用地図データ上の自車位置を把握するのが特徴である。現在開発中の自動運転車に搭載し、2017年以降の実用化を目指す。
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デンソーが検討、車載ICを薄く安く
ECUにiPhone最先端実装技術
ECU(電子制御ユニット)の性能を左右するプロセッサーIC(集積回路)。そのパッケージ技術が大きく変わる兆しが出てきた。自動車業界で、米Apple社が2016年9月に発売した「iPhone7」などに採用した最先端のパッケージ技術をECUのICに使う検討が進む(図1)。低コストと薄型化を両立し得る。2…
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Tesla社の価格競争力を後押し
カリフォルニア州のZEV規制
IHS Markit Automotiveは2016年10月、米カリフォルニア州のZEV(ゼロ・エミッション・ビークル)規制の動向に関するセミナーを開催した。この中で、プリンシパルアナリストの波多野通氏は「ZEV規制が米Tesla Motors社のEVの価格競争力を後押しする」との見方を示した。
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鋼板製より50%軽く強度は同水準
Lanxess社のGFRP製ブレーキペダル
ドイツLanxess社は、GFRP(ガラス繊維強化樹脂)製ブレーキペダルの自動車メーカーへの売り込みを強化する。鋼板で造った製品より50%軽く、強度や剛性、耐久性は同等である。部品点数を減らせるため、製造コストも同水準にできるという。
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自動運転の地図データと連動
三菱電機の高精度位置センサー
三菱電機は2018年度をめどに、自動運転向け高精度位置センサーを実用化する。現在のGPS(全地球測位システム)を用いたセンサーは数m単位の精度だが、新センサーでは準天頂衛星との組み合わせにより数cm単位に高める。さらに、同社は高精度地図データを併用することで、高速道路の合流や車線中央走行を可能にする…
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“脱製造業”、米ベンチャーと切り開く
トヨタのコネクテッドカー戦略
トヨタ自動車が、「クルマを造るだけの会社」からの脱却に向けて本格的に動き出した。米ベンチャー2社と組んで、コネクテッドカー(つながるクルマ)を使った試験サービスを2016年度冬に始めることを決定。自動車の生産・販売を生業としてきたトヨタが、新たな収益源の確保を目指した取り組みを加速させている。