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 武藤工業は、アーク溶接*1を利用して金属部品を造形する3Dプリンターを東京農工大学との共同研究によって開発した(図1)*2。アーク溶接のトーチを3軸制御で動かしながら肉盛溶接*3していく仕組みだ。

図1 武藤工業が開発したアーク溶接金属3Dプリンター
市販のアーク溶接用ワイヤーを使えるため、造形材料の種類が豊富でコストも安く済むのが大きな特徴である。
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*1 アーク溶接 電極を兼ねたワイヤーから溶接対象となる母材に向けてアーク(放電現象の1つ)を発生させることで、ワイヤーと母材を溶かして溶接部とする接合法。母材にマイナス電圧、ワイヤーにプラス電圧を印加することでアークを発生させる。電極から溶接部に向かって吹き付けるシールドガスでアークや溶接部を覆うことによりアークを安定化させ、溶融金属の中に大気中から大量の窒素が溶け込むのを防ぐ。

*2 2015 年1月28~30日に東京ビッグサイトで開催された「3D Printing 2015」で参考出展した。

*3 肉盛溶接 母材表面に硬化、耐食、補修、再生などの目的に応じた所要の組織と寸法の金属を溶着する方法。

 金属3Dプリンターとしては既に、金属粉末を材料とする方式が実用化されている*4。これに対してアーク溶接金属3Dプリンターは汎用品の溶接用ワイヤーを使うため、材料の種類の豊富さやコストの低さ、取り扱いの容易さといったメリットがある他、造形速度も速い。装置価格も「金属粉末を使うタイプの数分の1」(武藤工業)と安い。水冷装置や溶接機などの付帯設備を含めて3000万円ほどとなる見込みだ。発売は2015年4~5月を目指す。

*4 金属粉末を使う3D プリンターには大きくは2種類ある。1つが、平らに敷き詰めた金属粉末に対してレーザーや電子ビームを照射することで断面形状部分だけを溶融凝固し、その上に1層分だけ新たに金属粉末を追加して再びレーザーなどを走査する、というプロセスを繰り返す方式。もう1つが、ノズル先端から金属粉末を吐出すると同時にレーザーを照射して溶融凝固する方式。