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 三菱電機は2015年2月、最新の技術成果を発表した。自動運転車の開発で今後重要になるSLAM(simultaneous localization and mapping)技術や自動車で使えるセキュリティー技術、NC加工機の加工精度と速度を上げる制御手法といったソフトウエア面の成果が注目を集めた。

 SLAMは、センサーで集めた周囲の物体までの距離情報を基に、相対的な位置の推定(Localization)と、地図の作成(Mapping)という二つの作業を実行する技術である。自動運転車で、自車位置の推定に使う。センサーとして赤外線レーザースキャナーを使うのが一般的だが、最近はカメラを使った研究が進む。例えばドイツDaimler社が取り組む。レーザースキャナーの価格は極めて高いが、カメラを使えば安くしやすい。

 三菱電機が開発したSLAM は「Point-Plane SLAM」と呼ばれ、センサーとしてカメラを使うもの。周囲の点群のデータに加えて、面のデータを使うことで計算量を大きく減らせる点が特徴だ(図1)。

図1 カメラを使ったSLAM技術の計算負荷を“軽く”する
(a)面データを使って計算する。(b)タブレット端末でリアルタイムに地図を構築。(c)タブレットに搭載する距離測定用のカメラ。
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 一般に自動運転車のSLAMは、赤外線レーザースキャナーやカメラで取得した距離情報を基に、あるタイミングで取得した点と、次の点の座標を照合することで、相対的な自車位置を推定した上で地図を作る。点の数が多いほど、自車位置の精度を高めやすく地図が精細になるが、照合の計算量が増える。

 三菱電機が開発した面データを使ったSLAMは、膨大な点群の座標ではなく、空間内の傾きを示すベクトル情報を計算に使う。点だと数百の照合が必要な空間でも、面データなら数個の情報で済む。計算量を大幅に減らせる。

 同社は開発した技術を実演した。Windows タブレットの裏側に台湾ASUSTeK Computer社のカメラを装着し、リアルタイムで室内の3次元空間の地図を描き、自らの位置を計算する様子を見せた。位置の推定精度は、「空間の大きさの1%以内」(三菱電機)と高い。タブレットを使うのは、「計算量の小ささ」(同社)をアピールするためだ。

 同社は開発した成果を、まずエレベーター内における空間情報の推定といった産業用途で実用化する考え。将来は自動車用途への応用を視野に入れる。