自動運転を実現する上でカギを握るセンサーが、赤外線レーザースキャナーである。その低価格化が今後進みそうだ。コニカミノルタは、一般的に流通する汎用的な発光素子と受光素子をそれぞれ1個しか使わない技術の開発に着手。フランスValeo社も、素子の削減を視野に入れて開発している。
コニカミノルタは2015年1月、自動運転車に使えるレーザースキャナーの試作品を発表した(図1)。波長が870nmの近赤外領域の発光素子1個を使い、水平方向で180度と広い範囲にレーザー光を走査。反射光を1個の受光素子に集めることで物体までの距離を測れる。汎用品で1個当たり数千円とされる高価な発光素子と受光素子を1個ずつしか使わないため、レーザースキャナーの価格を大幅に下げられる可能性がある。
レーザー光を左右と上下に走査する、独自の光学機構を開発して実現する。走査範囲内でレーザー光を隙間なく投射できるため、障害物を見落とす可能性をほとんどなくせる点も特徴の一つである(図2)。試作品の垂直方向の走査範囲は、30m先で4.5m程度(表)。水平方向の走査範囲を120度に狭めることもでき、その場合は30m先で垂直方向を6m程度に広げられる。
障害物までの距離は一般的なToF(time of flight)方式で計算し、距離分解能は約6cmと高い。走査範囲内を1回測距するのにかかる時間は0.1秒で、10フレーム/秒に相当する。
コニカミノルタは、自動運転技術を手掛ける国内ベンチャーのZMPと提携し、同社の自動運転車に開発品を搭載して実験を進める。その知見を基にハードウエアの仕様を決めることに加えて、物体認識を含めたソフトウエア技術を磨きたい考えである。