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域内販売シェアが8割弱と日系自動車メーカーの独壇場となっているASEAN。だが、日系以外の自動車メーカーの参入が相次ぎ、競争が激化しつつある。しかも、2015年末にはASEAN経済共同体(AEC)が発足する見込み。ビジネス環境が大きく変わる可能性がある。ASEANでのさらなる競争力の強化に向け、戦略の早急な再点検が求められている。

 トヨタ自動車は2017年末に、オーストラリアでの自動車の生産から撤退する。米Ford Motor社、米GM社に次ぐ決断で、これによりオーストラリアで自動車を生産する大手自動車メーカーはなくなることになる。

 その要因となったのは、通貨高、人件費の高騰、関税の引き下げなどだ。オーストラリアでは、2005年7月にタイとの自由貿易協定(FTA)が発効。これにより、2005年時点では10%、現在では5%とされる乗用車への関税が、タイから輸入する場合はゼロに引き下げられた。その結果、「オーストラリアの新車販売台数のうち、タイからの輸入車が占める割合は大きく増加した」と日本貿易振興機構(JETRO)海外調査部国際経済研究課長の椎野幸平氏は言う。オーストラリアで自動車を現地生産するうまみが消えた。

 裏を返せば、ASEANは生産拠点の最適配置に大きく寄与する地域ということだ。現に、ASEANは多くの国・地域とFTAや経済連携協定(EPA)を結ぶ(図1)。それらを活用すれば、ASEANで効率良く自動車を生産し、自動車の生産に適さない国・地域に関税なしで輸出することが可能になる。

図1 ASEANを中心に構築されたFTA/EPAネットワーク
日本アセアンセンター「ASEAN情報マップ」を参考にして本誌が作成。図中の年月は発効時期。
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