PR

 2015年4月19日。もうすぐ50回目の誕生日がやってきます。米Electronics誌に掲載された論文が、後に「ムーアの法則」と呼ばれる経験則を世に問うてから半世紀。この法則が導いた半導体技術のたゆまぬ進歩こそ、電子産業発展のエンジンでした。

 その神通力がついに失われそうです。既に頭打ちになった回路の動作周波数に続き、進化の原動力である微細化が止まろうとしています(記事)。EUV露光などの新技術が実用になっても、次の50年を支えるのは恐らく無理でしょう。一方で、高い性能や低い消費電力への欲求は今後も高まり続けます。IoTやビッグデータという言葉が告げる、大量のデータから世界を理解し、予測し、制御していく時代が始まるからです。気が遠くなりそうな計算能力や記憶容量がいずれ必要になることは、前号のPerspective欄で展望した通りです。

 ムーアの法則が終わっても電子技術への期待と要求が変わらずに伸び続けるとしたら、何が起こるのか。その答えを、10年単位の未来予測という高い視座から俯瞰したのが、今号のPerspectiveです(記事)。2人の碩学は、科学技術の発展が歴史的な転換点を迎えていると説きます。最先端の人類の叡智を結集した電子技術は、自然が培った手段に学ぶ方向に舵を切りました。人の学習能力を模したディープラーニング技術を使うGoogle社の自動運転車(記事)や、強磁性体をモデル化した「イジング模型」に依拠する日立製作所の新型コンピューター(記事)は、その片鱗です。

 ムーアの法則が去った後に広がるのは、地図のない未開の大陸です。その中で、技術や市場が進む方向をいち早く見極め、先々の見通しをよくしていくことは、Electronics誌の日本語版として始まった本誌の責務と言えます。独自ロードマップの策定を含めた、今後の情報提供の在り方を考え始めたところです。

 分野は異なれど、本誌自身も新たな領域に踏み込みました。Webサイト独自の情報発信を強化しています。独自記事を含む本号の目次は、http://nkbp.jp/NE1504でご覧いただけます。ぜひご活用ください。