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 デンソーは、若手を中心とした技術者の能力向上を狙い、技術・技能を伝承する「技術道場」を展開している。普段の業務で少なくなった「現物を使って自ら手を動かす」ことで、技術や技能を学ぶ実践型の教育制度だ。現在、「パワーエレクトロニクス」「情報エレクトロニクス」「応用計測」「自動車工学」など12の道場があり、各道場では中堅クラスの5、6人の技術者が、月に2、3回集まって課題に挑んでいる(図1)*1

*1 12道場には安全などの技能分野の道場も含まれる。
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図1 主な技術道場と建物の入り口
現在、技能系も含めて12の道場がある。研修に使っている建物の入り口には「現物実践」「心技一体」「切磋琢磨」の文字が掲げられている。ものに触れて技術を体得するとともに、志や考え方を伝授すること、互いに刺激し合い技と心を高めるといった精神を表している。

 各道場で与えられる技術課題は決して高度なものではない。しかし、「失敗をさせることが重要。普通にやったらうまくいかないような課題をあえて与えている」(同社技術開発センター技術人材戦略室担当部長の手繰能彦氏)。自分の手を動かしてものを造って実験し、その中で実務では許されない失敗を体験させることで、自分で考えて課題を解決するというプロセスを経験させるのだ。例えば、自分で巻き線を巻いてモーターを作製し、それを制御するプログラムを組む。その上で自動車部品のモックアップモデルを作製して音や振動を計測し、それらをどのようにして低減するかを考えたりする(図2)。

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図2 技術道場における研修の様子
技術者が少人数で課題に取り組む。講師は社内の第一線のベテラン技術者が務め、ノウハウや知見を伝授する(a)。道場内には、さまざまなカットモデルを置いて、生徒らが現物に触れる機会を増やしている(b)。