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図1 仕上げ用工具を作製する様子
光学顕微鏡で観察しながら、時計旋盤とダイヤモンドホイールで加工する。
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図2 直径3μmの穴を加工
モリブデン鋼に直径3μmの穴を加工した後、仕上げ加工用工具でバリを取る。
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 図1は、穴開け加工に使う工具の先端を加工している様子だ。最も細い工具は、直径3μmの穴の加工や仕上げ加工に使う。髪の毛の直径が約80μmだから、その細さが分かるだろう(図2)。作業者は、市販の超硬合金製工具の先端を光学顕微鏡で観察しながら、時計旋盤とダイヤモンド砥石を使って独自の形状に加工していく。

 この作業場は、化繊ノズル製作所(本社大阪市)の東江原工場(岡山県井原市)の一角にある。同社はポリエチレン・テレフタレート(以下、ポリエステル)などの合成繊維を紡糸する際に使うノズルを主に手掛ける。ノズル先端にある穴の形状や大きさがバラつくと、繊維の生産性や品質が落ちるので、穴の精密加工技術は同社の生命線だ。中でも、バリ取りなど仕上げ加工に使う工具は最終工程を担うだけに最も重要なコア技術となる。「近年、急速に実力を付けてきている中国メーカーとの差異化を図る切り札だ」(同社代表取締役社長の戸川和也氏)。すなわち、同社にとって工具やノズルの加工を担う技能者の育成が、競争力の源泉となるのだ。その育成法の特徴は、徹底した現場主義である。