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 変速機は、アルトに搭載した自動MT(手動変速機)「AGS(Auto Gear Shift)」を採用する。ただし、アルトでは、手動変速モードにおいて運転者がシフトレバーを操作して変速段を変えていたのに対し、ターボ車ではパドルシフトにすることでステアリングホイールを握りながら指先で変速できるようにした。アルトよりも、変速による走りを楽しみやすい。

 アルトターボのエンジンの最高出力は47kW(64PS)で、最大トルクは98N・m。アルト(AGS搭載モデル)に比べて最高出力は9kW、最大トルクは35N・m、それぞれ高めた。ターボエンジンとしては、ワゴンRのものと比べて、最高出力は同じだが、最大トルクで3N・m増えている。

 各所に補強材を配置した他、スポット溶接を増やすことで車体の剛性をアルトに比べて5%高めた。エンジンルーム内には、左右のサスペンション上部を結ぶ棒(ストラットタワーバー)を設定した(図3)。

図3 車体を補強し剛性を高めた
左右のサスペンション上部を結ぶ補強材の装着などで、車体のねじり剛性を約5%向上させた。
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 この他、車体のサイドドアや後方ドアの開口部に、30点ほどスポット溶接を増し打ちした。車両全体のスポット溶接箇所は1000点以上になるため割合ではわずかだが、センターピラーとルーフレールが交差するエリアなど、ドア開口部の角に集中して増し打ちすることで、効果的に車体剛性を高めたという。

価格は44万円増に

 アルトターボの価格はベース車に比べて約1.5倍(金額で約44万円増)と開きがある。同社はこれまでアルトを実用車として位置づけ、同社の軽乗用車の中で最も価格を抑えた車種としてきた。にもかかわらず、価格を大きく引き上げるモデルを設定する理由は何なのか。

 これに対して同社は、「アルトターボはアルトの上級グレードという位置付けも兼ねている」(第一カーラインアシスタントCEの津幡知幸氏)とする。最近では、子育てを終えてミニバンなどから軽自動車に乗り換えるダウンサイジングの流れも加速しており、軽乗用車でも装備を豪華にした200万円近くの車種も増えている。スズキの店舗では、顧客によって、アルトのターボモデルをアルトの上級グレードとして提案していくという。

 アルトターボでは、シートヒーターを追加して寒冷地での軽自動車の使い勝手を高めている。軽自動車は、四国や九州で特に普及しているが、東北や北海道地方では需要が少ない。最大の理由はエンジン排気量が小さいことで、冬に車内を暖気しにくいこと。電気式のシートヒーターを用意することで、寒冷地でも軽自動車の需要を開拓しようとの狙いもある。

 月間販売目標はアルトの7000台に対してアルトターボは500台。この数字から見ても「アルトターボは顧客の新しい需要を探る目的としてとらえている」(第一カーライン製品企画係長の伊藤二三男氏)とする。