デロイトトーマツは2015年3月、自動車産業を分析する「ビジネスセミナー2015」を開催した。世界の自動車市場が拡大する中、部品の共用化やクルマのIT(情報技術)化、新興国市場への対応など、自動車メーカーや部品メーカーは多くの課題に直面している。自動車業界の専門家を交えて各メーカーの動向や戦略などを紹介した。
近年ハイブリッド車(HEV)や電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)など環境対応車が世間をにぎわせている。しかしデロイトトーマツ執行役員パートナーの田中義崇氏は、クルマの電動化について「2025年になっても依然としてエンジン車が車両販売台数全体の8割以上を占め、燃費改善が重要な課題である」とした(図1)。各社は過給ダウンサイジングといったエンジン効率の向上や空気抵抗の低減、車両の軽量化、駆動系の改良、転がり抵抗の低減などに取り組む必要があるという。
一方で、エンジン車が段階的にその割合を減らしていくのとは相対的に、今後はHEVやEVの割合が徐々に増えると予測する。HEVは2013年の2.3%から2020年には6.7%、2025年には14.2%へと増加するとみる。HEVの構成は、現在PHEVを含むストロングHEVが主流であるが、将来は欧州勢が推進する48Vシステムを含むマイルドHEVが急速に普及していくと予測する。
クルマのIT化については、若者世代である「ジェネレーションY」(1980年~95年生まれ、現在20~35才)にクルマの「つながる化」を求める傾向が強いことを示した(図2)。