
Terry Gou(郭台銘)。一代で世界の電機業界を代表する企業を作った男に率いられた台湾Hon Hai Precision Industry社(鴻海精密工業、通称:Foxconn)が、電装品(カーエレクトロニクス)・電気自動車(EV)市場を開拓し始めた。同社はこの市場でも大手企業を魅了し、劇的成長を遂げるのか。困難を承知で突き進むFoxconnと郭氏の動きを追った。
米Apple社の製品などを生産する世界最大のEMS(電子機器受託製造サービス)・ODM(Original Design Manufacturer)企業のFoxconnが、カーエレやEV市場の開拓に向け、矢継ぎ早に手を打ち始めた(表1~2)。同社が最も獲得したい顧客は、顕在的および潜在的なEVの大手ブランド企業。Apple社や米Tesla Motors社などだ。それらがEVの設計や製造を委託するのは早くとも5~10年後かもしれないが、Foxconnに迷いはない。電池や金型といった部材、車内エンターテインメント装置、EVのレンタルに向けたWebサービス、EV販売網や車両組み立てに対して投資を続けている。