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ボディーにアルミニウム(Al)合金を使ったFord社の「F-150」が、自動車メーカーを驚かせている。世界の厳しい環境規制をクリアするため今後、中大型車ではAl合金の採用が加速する。Al合金の採用では、Daimler社の「Cクラス」やJaguar Land Roverグループの「XE」などが先行する。自動車用Al合金の市場は急成長する見通しであり、材料メーカーの競争も激しくなってきた。

 2014年初めに、世界の自動車メーカーの間に衝撃が走った。各社を驚かせたのは、1月の「North American International Auto Show(NAIAS:デトロイトモーターショー)2014」に米Ford Motor社が出展した新型ピックアップトラック「F-150」(図1)である。先代モデルまで鋼板を使っていたボディーに、アルミニウム(Al)合金を全面的に採用したからだ。

図1 Ford社の新型ピックアップトラック「F-150」
全米で最も売れている量産車のボディーにアルミ合金を採用したことで、世界の自動車メーカーの間に衝撃が走った。
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 Ford社の「Fシリーズ」は、年間販売台数が75万台を超える中核車種である。2014年の販売台数は前年比で1.3%減少したが、それでも75万3850台を記録した。F-150はFシリーズの中で最も売れている車種である。

 これまでも自動車のボディーにAl合金を使うケースはあったが、生産量が少ない高級車に採用するのが中心だった。これに対して今回の新型F-150は、全米で最も販売台数が多い人気車である。同車の生産は2014年11月に始まり、北米などで販売されている。こうした量産車にAl合金を全面的に採用したことに、世界の自動車メーカーは驚いたのである。

 F-150の販売台数が約50万台と仮定すると、同車だけで年間数十万tというAl合金の新たな需要が生まれることになる。これは、米国におけるAl合金パネル材の現在の市場に匹敵する規模である。ボディーへのAl合金の採用を進めている他の自動車メーカーにとっては、「Al合金の需給が逼迫し、調達が難しくなるのではないか」という危機感さえ広がった。