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2015年3月に開催されたモバイル業界の祭典「Mobile World Congress 2015」。最大のテーマは、第5世代移動通信(5G)だった。移動通信の標準化で主導権を握る欧州の移動通信機器メーカーなどの方針が固まってきたことが大きい。5Gまでのつなぎとして、無線LANが主に使用する5GHz帯を移動通信で使う動きも顕在化した。

 5Gの技術開発競争の火ぶたを切る─。「Mobile World Congress 2015」は、そんな位置付けの展示会となった。これを象徴するのが、欧州委員会と移動通信機器メーカーなどから構成される5G PPP(the 5G Public-Private Partnership)がMWCの初日である3月2日に共同で発表した「vision for 5G」という声明だ(図1)。移動通信分野での欧州地域の産業競争力を維持・強化するため、2020年までに各社が協力して、5Gに向けた技術やインフラを整えていくことを表明した。

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図1 5Gに向けたロードマップが示される
欧州の5Gに向けた動きが明らかになった。2020年ごろを目標に研究開発を進める。最大の通信速度を10Gビット/秒、サービス遅延を5ms以下、信頼性を99.999%を狙うといった数値目標も明らかになった。(図:5G PPPの「5G Vision」の資料を基に本誌が作成)

 この声明の最大のポイントは、5Gのサービス対象として、人だけでなく“Things”と呼ぶさまざまなモノを含んだ点だ。具体的には自動車や列車、工場の生産設備、家電機器、電力網、センサー群などを対象とする。Thingsの通信の中には、自動運転や遠隔医療など通信に遅延や断絶が発生すると、危険が生じる「ミッションクリティカル」なサービスも含まれることが示された。これらを実現するため、99.999%の信頼性や5ms以下の通信遅延といった目標を設定した。

ミッションクリティカル=障害の発生による中断や停止が発生した場合に社会的影響が大きい用途のこと。