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バイオマス・コージェネの課題

 バイオマス発電はカーボン・ニュートラルで、大気中のCO2濃度を増やさない。また、放置された間伐材の利用は、山林の整備と林業の復興につながるので、政府は電力の固定価格買取制度(FIT)によって普及を支援している。買取価格は1kWh当たり32円(2014年度)と高く、太陽電池と同様、売電収入を目当てに新規参入する企業も多い。

 しかし、そのほとんどは発電専用でコージェネは少ない。コージェネは温熱の使い道を見つけるのが大変で、意外に儲からないからだ。FITで売電収入を得たい事業者は発電専用を選ぶ。発電のみでは効率が20~30%しか出ないので、少しでも効率を上げるため大型の施設を建てる。その結果、大量の熱が捨てられている。

 今回のコマツの事例では、自社工場内の電力需要や熱需要に合わせて、始めからシステムの熱電比率を最適化できた。その結果、高効率で稼働率の高い設備が実現できたのである。

林業に工業的手法を

 バイオマス発電は火力発電なので、出力変動がない。理想の再生可能エネルギーだ。ただし、燃料の木材チップが安価に供給されなくてはならない。

 コマツは2014年2月に、石川県および石川県森林組合連合会と連携協定を結んだ。そして、自社の品質管理や生産管理、コスト管理のノウハウを駆使して、チップのコストを精密に査定した。それを元に、森林組合にもコマツにも利益の出る適正なチップ価格を決めた。

 また、その際に、間伐材を粉砕してチップにするドラムチッパーという機械の新規開発が必要であると提案した。従来のドイツ製大型ドラムチッパーは7000万円ほどする高価な機械だが、部品交換が多く、部品の取り寄せに時間がかかるなどし、稼働率が低かった。コマツはここを改善しない限りチップの低コスト安定供給は不可能と考え、地元の機械メーカーの手で新規に開発・製造するよう要望した(図2(b))。

 チッパーの問題以外にも、生産や流通でさまざまな課題があった。赤字が出ても補助金に頼りがちだったこれまでの林業の体質を、コマツは製造業のルールを適用して変えた。工場の省エネから始まったバイオマス分散電源プロジェクトが、いつのまにか地域の産業振興の中核となって、新たなエコシステムを形成しつつあるようだ。

 「ヨーロッパなどで見られるように、山林に近いところに小規模で高効率のバイオマス・コージェネ・システムがたくさん点在する姿が理想。このプロジェクトを通じて、移動式チッパーや小型ボイラーなど、地域の機械産業に適した新規事業のネタが生まれつつある。エネルギーの地産地消とは、このように地域の産業振興と結びついた形で実現されるべきではないか」とコマツの野路國夫会長は語る。これまでと違うカルチャーに基づいた新しい持続的社会の提案である。