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 2014年9月3日に新日鉄住金・名古屋製鉄所のコークス工場で発生した火災事故は、コークス炉の付帯設備である石炭塔に、数日にわたって石炭を貯留したままにしていたことが原因だったとこのたび判明した1)、*1。石炭塔は石炭ヤードから運ばれた原料炭を一時的に保管(貯炭)する設備。酸化した石炭の自己発熱で一酸化炭素(CO)を主体とする可燃性ガスが発生し、それに着火した可能性が高い。

*1 事故当日は、周囲に延焼した他、従業員および関係会社社員15人が負傷した。

 当時、5槽4列から成る炭槽(石炭の容れ物)のうち、第2列に100t以上の「DAPS炭」*2と呼ぶ石炭が貯炭されていた(図)。一方、他の炭槽には、設備修繕に伴いDAPS炭ではなく水分量の高い原料炭(湿炭)が貯炭されていた*3

*2 DAPS炭
水分量の高い原料炭を乾燥させたものから分級した微粉炭を固めた石炭。水分が少なくても粉にならず、コークス炉での扱いが容易になる。
*3 事故の数日前からDAPS炭製造設備で定期修繕工事が予定されていたことから、貯炭していたDAPS炭を払い出して湿炭に入れ変える作業が行われた。
図 火災が起こった石炭塔の構造
コークス炉で使う石炭を一時的に保管する設備。事故当時、第2列の炭槽に100t以上のDAPS炭が貯炭されていた。これが酸化して高温になり可燃性ガスが発生したと推定される。新日鉄住金の資料を基に本誌が作成。
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