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電気自動車(EV)用リチウムイオン電池(LIB)の性能で、最重視されるのがエネルギー密度。もちろん、自動車用として使うことから、他の性能とのバランスが強く求められる。それは安全性や信頼性、寿命、充電電流、低温特性、出力密度などだ。さらに、性能ではないが低コスト化も欠かせない。

 航続距離が300~400km、将来的には500kmとなるEVを実現するには、LIBのエネルギー密度を大きく向上させる必要がある。この手法には大きく二つのアプローチがある。一つは、LIBを構成する正極、負極、電解液、セパレーターといったLIBの中身を変えていく方法(図1)。もう一つは、同じ中身でもセルに詰め込む量を増やす方法だ。

図1 リチウムイオン電池の模式図
正極、負極、電解液、セパレーターなどから構成される。日立製作所の資料を基に本誌が作成。
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 例えば、韓国LG Chem社では、2009~2010年に実用化したEV用の第1世代LIBでは正極にマンガン酸リチウム(LMO)系を使っていた。それを、2010年代後半のEVへの搭載を予定する第2世代LIBでは、3元系に変えている。

 ちなみに、3元系とは、ニッケル-マンガン-コバルト酸リチウム(NMC)系のことでLMO系よりエネルギー密度を高めやすい。また、負極も低コスト化に向け、第1世代とは同じ黒鉛系でもより安い材料に変更しているという。品質が高い人造黒鉛に比較的低コストの天然黒鉛を配合したものと推測される。

 さらに、同社によれば、EV用の第1世代LIBに比べて第2世代LIBでは、セルに詰め込む部材の量を増やしている。詳細は不明だが、同じ寸法で材料を変えずに、当初は28Ahだったものを36Ahまで増やす取り組みも実施している。最初は、安全性の面で過剰品質にしていた部分などを見直すことでそれを可能としている。業界筋によれば同社がEV用で使用している正極は、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)の比率が6:2:2のNMC622だ。