製品に付き物の品質や特性のバラつき。顧客要求の高度化、グローバル調達の進展などにより、バラつきの問題がかつてないほど深刻になりつつある。同時に、バラつきの抑制がそのまま競争力となる時代が来ている。どのような対策があるのか。最先端の取り組みを進める3社の事例などから解説する。




イラスト:楠本礼子
製品に付き物の品質や特性のバラつき。顧客要求の高度化、グローバル調達の進展などにより、バラつきの問題がかつてないほど深刻になりつつある。同時に、バラつきの抑制がそのまま競争力となる時代が来ている。どのような対策があるのか。最先端の取り組みを進める3社の事例などから解説する。
調査テーマ「バラつきの抑制と対策」
バラつきが増えていると気にしている回答者が7割を上回った。ただし、現状では製品設計上の公差の指定などがあいまいでも取引先や製造部門が補ってくれるため、対応策はやや後追いになっている。部品のバラつきに応じて組み合わせを変えたり、製品のバラつきに応じて用途や出荷先を変えたり、対応策はメーカーによって異な…日経ものづくり
「中国南部の合弁会社に出向して働いている。日本に比べ自動化が遅れており、作業者要因のバラつきに悩まされることが多くなった。作業者が頻繁に入れ替わり、作業習熟が進まないのも要因の1つ」。2015年4~5月に日経ものづくり誌が「バラつきの抑制と対策」をテーマに実施したアンケートに寄せられた声だ*1。グロ…日経ものづくり
「バラつきに対する見方が変わった」。こう語るのは、YKK工機技術本部新工場加工ライン最高責任者の清水毅氏だ。同社で使う製造装置や金型などを開発・生産する工機技術本部では今、「Target 20」という活動を進めている。これは、開発した製造装置での加工費や消費電力、価格をそれぞれ20%低減しようという…日経ものづくり
3D-CADデータを使う公差解析ツールは、製品の特性上重要な寸法や隙間の精度を確保するために、各部品の公差をどう設定すべきかを計算するツールである(表)。操作時には、まず目的の寸法や隙間を指定。次いで、その寸法や隙間に影響を与える部品を指定し、その組み付け基準を入力していく。これらを受けて、ツールが…日経ものづくり
バラつき対策の効果を最大化するためには、過不足ない対策を確実に実行することが求められる。打つべき対策を打たずに不具合が発生することは論外だが、だからと言ってあらゆる可能性を検討して対策を講じるのはムダが増える。自動車などでは部品点数が膨大になり、開発期間の短縮も求められる中、不必要な対策に時間を割く…日経ものづくり
高周波特性を限界まで追求するようなインフラストラクチャー関連用途などでは、例えば極めて狭い周波数帯を有効に使う一方で、そのすぐ隣の周波数帯には影響を全く及ぼさない、といった特性を備える機器のニーズが増えている。このような特性をどうすれば実現できるのか、実はまだ完全には分かっていないことがある。個々の…日経ものづくり