「中国南部の合弁会社に出向して働いている。日本に比べ自動化が遅れており、作業者要因のバラつきに悩まされることが多くなった。作業者が頻繁に入れ替わり、作業習熟が進まないのも要因の1つ」。2015年4~5月に日経ものづくり誌が「バラつきの抑制と対策」をテーマに実施したアンケートに寄せられた声だ*1。グローバルに製造拠点が広がるなど、ものづくりの環境が大きく変化する中で、製品にバラつきが生じる要因が増え続けている。
バラつきは加工結果の形状や寸法、組み付け時のズレ、購入部品のスペックの変動など、あらゆるところに存在する。製造拠点が増えるだけでもバラつきが増大する原因になるが、まして文化の異なる土地での作業となれば、なおさらである。
バラつきの増大により、製品で狙った機能や性能を実現することが難しくなる(図1)。その結果、製品の開発期間の長期化や、場合によっては当初予定より製品の機能や性能を引き下げざるを得なくなる。バラつきを抑制しなければ、顧客に対して価値を提供できなくなる。今、その対策が急務になっている。