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 バラつき対策の効果を最大化するためには、過不足ない対策を確実に実行することが求められる。打つべき対策を打たずに不具合が発生することは論外だが、だからと言ってあらゆる可能性を検討して対策を講じるのはムダが増える。自動車などでは部品点数が膨大になり、開発期間の短縮も求められる中、不必要な対策に時間を割く余裕はない。的確な課題の抽出と、その対策を導き出す効率的な仕組みが必要となる。

 そこで日産自動車が開発したのが、品質バラつき抑制手法「QVC(Quality Variation Control)プロセス」である1)。機能展開と品質工学を組み合わせることで、バラつき対策を論理的に導き出す。さらに、設計から生産を含んだ開発プロセスの中に体系的に組み込んだことも特徴と言える。製品開発プロジェクトが開始される前(オフプロセス)に課題解決の技術を開発し、ストック(蓄積)しておく。この中から案件ごとに必要に応じて実際の開発プロジェクト(オンプロセス)に適用することで、開発期間の短縮と、漏れのないバラつき対策、そして対策技術の別案件での再利用が可能になる。

 同社は2006年から約2年かけてQVCプロセスを体系化し、現在までに約110の案件に適用した。2014年からはQVCプロセスのセミナーを開催するなど、その普及を図っている。自動車業界だけでなく、さまざまな業界から引き合いがあるという。