PR

 高周波特性を限界まで追求するようなインフラストラクチャー関連用途などでは、例えば極めて狭い周波数帯を有効に使う一方で、そのすぐ隣の周波数帯には影響を全く及ぼさない、といった特性を備える機器のニーズが増えている。このような特性をどうすれば実現できるのか、実はまだ完全には分かっていないことがある。個々の部品は一定範囲にバラつきを抑えてあっても、「それを集めて組み立てたときに所望の特性を得られるとは限らない」(富士通)という状況だ。

 具体的に部品のどの特性をどう管理すればよいかが「釈然としない」(同)。「部品の特性をあらかじめ測定しても、特に高周波領域では、結果が測定方法や周囲の環境によって影響を受ける。その結果からだけでは、実際の製品に組み込んで動作させたときの挙動は完全には分からない」(同)からだ(図1)。

図1 高周波での特性を厳しく追求する必要のある電子機器の実際
製品の特性の実現が微妙な部品やチューニングで成り立っており、バラつきやズレが生じる要因やメカニズムが明らかでないところがある。
[画像のクリックで拡大表示]

 従って、部品を組み込んで実際の環境で部品の挙動を測定しつつ、それに合わせてチューニングを進めていくことで、製品が望ましい特性を発揮できるようにする。これも簡単なことではないが、ICTの発展(後述)によって現実的になってきている。部品を組み込んで測定した結果によって、どのような方向でチューニングすればよいかを決める。さらに、そのデータを後工程に送って(フィードフォワード)、後工程でのチューニングを効率的に実現できるようになってきた(図2)。

図2 望ましい高周波特性を実現するための製造工程
部品を組み込んで特性を測定し、目標が実現できるかどうかを見極めながら、チューニングの方針を決める。これを、キーとなる工程で繰り返す。
[画像のクリックで拡大表示]