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Apple Watchとそのディスプレーモジュール
(写真: 右上はApple社、左下は本誌)
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 米Apple社の腕時計型端末「Apple Watch」(標準モデル)のディスプレーモジュールを分解し、その中身を分析した。日経エレクトロニクスは、2015年6月号に掲載したApple Watchの製品分解記事で、そのハードウエアの特徴について「外側も内側もまさに“高級腕時計”」と表現した1)

 今回、Apple Watchをさらに詳しく分析するために、分解の対象を部品まで広げた。対象としたのは、Apple Watchの“顔”といえるディスプレーモジュールである。その中身もまた、“腕時計志向”が鮮明だった。

 Apple Watchのディスプレーモジュールは、表示部とタッチパネル部に大きく分かれる。分解の結果、表示部はフィルム状の有機ELディスプレーを中心に構成されており、またタッチパネル部はカバーガラスとガラスセンサーから成ることが分かった(図1)。以降では、それぞれの特徴について解説する。

図1 Apple Watchのディスプレーモジュールを分解
ディスプレーモジュールは、表示部とタッチパネル部に大きく分かれる。腕に付けたとき、腕に向く面を「奥」、反対の面を「手前」としている。
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フィルム有機ELを採用

 表示部は、まず、有機ELディスプレーを採用した点が目新しい。デザイン性や高級感を重視したとみられる。有機ELを使うことで、漆黒の画面に文字や絵が浮かんで見える効果が得られる。Apple Watchは普段、表示がオフになっている。時刻を見たりアプリを利用したりするときだけ、黒い画面の中に情報が浮かんで見える。また、普段は表示オフにして使う端末としたことで、有機ELの課題の1つである消費電力のハードルは大幅に下がったと考えられる。

 表示部全体がフィルム状であることも、大きな特徴だ。薄型・軽量と割れにくさを追求した様子がうかがえる。腕時計は常に身体に装着する点や、ときに放るなど乱暴に扱うこともある点が、スマートフォンとは大きく異なる。薄さ、軽さ、割れにくさに対する要求レベルはスマホよりも高い。これまでに実用化された有機ELディスプレーの大半はガラスを使用していたが、このガラスをフィルムに切り替えることで、腕時計に適したディスプレーを目指したとみられる。