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これまでの連載3回を通じて、ビデオ・ゲームの優れたノウハウを他分野に生かす「ゲームニクス」を解説してきた。最終回となる今回は、著者のサイトウ氏が開発に関わったカーナビを例に、ゲームニクスを電子機器へ適用する場合の留意点や、搭載した機能などについて紹介してもらう。キャラクターの使用などで使い方を直感的に理解できるようにし、成果の可視化や収集欲の刺激で継続利用を促す。(本誌)

 ゲーム制作という異文化を、電子機器の開発に取り込むことは容易ではない。その最初のハードルになるのが、組織トップの決断である。ゲーム制作では、人に見えにくい部分にお金と時間を掛ける。ゲーム制作の現場で当たり前のことが、一般的な電子機器ではコスト削減の対象になりやすい。

 そこで、開発トップの理解と決断が必要になる。できれば経営陣からの理解を得るのが望ましいが、開発メンバーが所属する部の部長に理解してもらえれば問題ないだろう。開発トップの決断の下でゲーム制作のノウハウを適用した上、開発組織におけるハードウエアとソフトウエアの「縦割り構造」を取り除いてから開発に取り組むのがよい。

 それを実践したのが、クラリオンのカーナビ「NX710」と「NX110」の開発だった(図1)。筆者は開発を始めるにあたり、まずはクラリオンの親会社である日立製作所の経営陣に対して、ゲーム制作のノウハウをカーナビに取り入れる利点を説明した。そこで合意を得た後、クラリオンのカーナビ開発チームへのプレゼンテーションに臨んだ。ここで活躍したのが、“動く企画書”である。

図1 開発トップの理解が必要
図1 開発トップの理解が必要
クラリオンのカーナビ開発では、まず親会社である日立製作所の経営陣の説得から始めた。その後、クラリオンの開発チームに対してFlashで作成した企画書を見せ、納得してもらった上で本格的な開発が始まった。
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