「モデルベース開発」の手法をエネルギー・システムの開発に適用するために、モデルベース開発の基礎から自動車分野での適用例をはじめ、エネルギー・システムでの導入例を紹介する本連載。第3回は、統計モデルにおけるパラメトリック・モデルとノンパラメトリック・モデル概略をはじめ、電子回路のプラント・モデルについて解説する。同プラント・モデルではSPICEを用いた手法についても紹介する。 (本誌)
プラント・モデルには、物理モデルと統計モデルという2種類があり、前回(第2回)は物理モデルについて詳しく説明した。今回は統計モデルを解説したい。統計モデルは、対象の入出力のみに着目したモデルのこと。モデルを導くにあたり、統計的手法を用いるため、この名称がある1)。
統計モデルは、パラメトリック・モデルとノンパラメトリック・モデルに分けることができる(図1)。具体的な事例として、ダイオードの順方向電圧降下が温度に比例することから温度センサを作製しようとした場合を考えてみよう。様々な温度でデータを計測し、図2(a)のように取得されたデータをそのまま使うのが、ノンパラメトリック・モデルである。
しかし、図2(a)では6個程度のデータ数を用いているが、測定点以外の電圧の場合はどうするのかという問題が残る。また、計測にはそもそも雑音が付き物で、計測データだからといって正しい値とは限らない。
そこで、例えば図2(b)のように、y=ax+bという数式を当てはめ、パラメータであるaとbでモデルを表現するのがパラメトリック・モデルである。具体的にはN個のデータを取得したとして、次式で示す。
