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「モデルベース開発」の手法をエネルギー・システムの開発に適用するために、モデルベース開発の基礎から自動車分野での適用例をはじめ、エネルギー・システムでの導入例を紹介する本連載。前回までは自動車分野で活用してきたモデルベース開発の概要をはじめ、数学的手法の基礎的な知識について紹介してきた。今回から2回にわたってエネルギー・システムの開発で抱える課題と、電源開発での活用例について解説する。(本誌)

 今回から2回にわたり、自動車業界や航空業界などの高い信頼性の要求を伴う分野で活用されてきたモデルベース開発手法を、パワー・エレクトロニクス、特にスイッチング電源の開発に適用した事例を紹介していく。

 まずはエネルギー・システムを取り巻く近況について述べたい。太陽光発電をはじめとする分散型電源を、既存のインフラに上手に取り入れ、最大限利用することは、災害などの非常時に対する電力網の安全性をより向上させることは間違いない。しかしながら、現状の機器には再生可能エネルギーを最大限に利用するための課題が多く存在する。

 一つは逆潮流の問題である。逆潮流とは電流の位相を反転させ電力を系統側に向かって出力することだが、これは同時に系統電圧の上昇を引き起こすことになる。一般的には、一つの柱状トランスに複数の家が接続されているため、複数台の分散型電源によって系統電圧の上昇を一度に引き起こし、結果として分散電源に接続されているインバータで発電を制限しなければならなくなる。従って、従来のシステムのまま、再生可能エネルギーを最大限利用することは難しい状況だ。今後、大規模に再生可能エネルギーを導入していくには、新たなインフラの整備を行わなければならないだろう。