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新市場の期待が高まるM2M向けの中近距離無線技術だが、現状ではさまざまな規格が乱立している。移動通信や無線LAN陣営からも新規格が登場した。日本では「Wi-SUN」が有力視されているが、世界市場では用途や地域で住み分けが進むとの見方が強い。Google子会社が主導する規格「Thread」も台風の目になりそうだ。

 ホームネットワークやビル・工場、社会インフラなど幅広い用途での利用が期待されるM2M向けの中近距離無線技術だが、第1部でも述べたように日本では「Wi-SUN」の注目度が高い。Wi-SUNは、800M~900MHzの周辺帯域を使用するサブGHz帯の無線通信規格である。物理層の仕様に「IEEE802.15.4g」を採用しており、業界団体の「Wi-SUN Alliance」が規格認証や相互接続試験を実施している注1)

サブGHz帯=1GHz帯以下の帯域で、特に日本の920MHz帯、米国の915MHz帯、欧州の863MHz帯などを指すことが多い。
IEEE802.15.4g=スマートグリッド(次世代電力網)の通信網などへの適用を想定したサブGHz帯の物理層仕様。2012年に標準化された。
注1)IEEE802.15.4gの標準化を主導した情報通信研究機構(NICT)の他、米Analog Devices社や富士電機など日米8つの組織や企業が2012年に設立。

 日本でWi-SUNが注目される背景には、国内の全電力会社がスマートメーターと家庭内のHEMS(home energy management system)をつなぐ「Bルート」と呼ばれる通信にWi-SUNを採用したことがある注2)。Bルートの先につながるホームネットワーク機器の需要がどのぐらいあるかはまだ未知数だが、ある無線通信モジュールメーカーは「国内約7800万戸のスマートメーターのほとんどに搭載されるインパクトは大きい」と語る。「今後もチップの供給が続く」「チップの大量生産により安価に調達できる」というユーザーの安心感から採用されているのだ。

注2)Wi-SUN Allianceは現在、物理層(RFチップ)の相互接続性だけを保証する認証プログラムと、Bルート用にMAC層やインターフェース(トランスポート層やネットワーク層、アダプテーション層)も含めて規定する認証プログラムを実施している。2015年7月からはこれらに加えて、HEMSゲートウエイと家電をつなぐHAN(home area network)用の認証プログラムも開始する計画だ。