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2014年12月、トヨタ自動車が満を持して発売した新型燃料電池車(FCV)「MIRAI」。その実現に向け最大の焦点となったのが、FCVのシステムの小型化と低コスト化だ。同社と部品サプライヤーはその課題をどう乗り越えたのか。システムの中核となる燃料電池(FC)スタック・ 高圧水素タンク関連の技術を明らかにする。

写真提供:トヨタ自動車
 

 従来モデルの1/20以下──トヨタ自動車が新型FCVのMIRAIで目指したのは、劇的な低コスト化だった(図1)。ひと頃は、1台当たり1億円以上と言われたFCV。その価格を723万6000円(税込み)まで低減した。

図1 トヨタ自動車の新型FCV「MIRAI」(左)と従来FCV「FCHV-adv」(右)
MIRAIは、SUVをベースとした2008年モデルのFCHV-advとは違い、セダンタイプの車両になっている。
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 しかも、同社の挑戦は低価格化だけにとどまらない。部品の搭載スペースがこれまでよりも小さいセダンタイプの車両で、車室や荷室の空間を極力犠牲にせずにFCVを成立させた。