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米Local Motors社
ユーザーがクルマメーカーに

 ユーザー自身が自分好みのクルマを造る──。そんな時代が3Dプリンターの普及によって、いつしか当たり前になるかも知れない。米ベンチャーのLocal Motors社は車体全体を3Dプリンターで一体成形し、実際に走行可能な状態に仕上げた「初めて」(同社)の企業だ。従来のようにクルマを「大量生産」するビジネスモデルを、ユーザー個別のニーズに合わせて「多品種少量生産」するモデルに変える可能性を秘めている。

 同社は3Dプリンターで車体を成形した2人乗りEV「Strati」を開発している(図)。このStratiは原型機であるため公式に販売するつもりはないとしているが、この次世代モデルとなる3Dプリンターカーを2016年に販売する計画を立てている。さらに同車を製造する小規模工場「マイクロファクトリー(Microfactory)」も、現在の2カ所から今後10年の間に世界で100カ所設置する目標を立てている。

図 3Dプリンターによる車体の製造風景
(a)クルマのボディーを製造する門型3Dプリンターと(b)試作品の小型EV「Strati」。従来の大量生産モデルから、ユーザー個別のニーズに合わせた多品種少量生 産モデルへの転換を提案する。
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 Stratiの車体はオープンデザインと呼び、Local Motors社のデザイナーだけでなく、外部のデザイナーからも製品アイデアを受け付けている。独自にデザインを開発する従来のメーカーとは大きく異なる。

 しかし、より大きな違いは生産体制の変化だ。Local Motors社は大規模な生産ラインを有する工場を必要としない。3Dプリンターなどクルマの製造に最低限必要な設備だけを導入すれば済むからだ。

 マイクロファクトリーを消費者の近いところに建設することで、クルマの生産・販売を消費者の傍で実現できる。いずれは、クルマの生産自体をユーザーが手掛ける時代が来るかも知れない。それは、従来のクルマの生産、物流、販売といったビジネスモデルが通用しなくなることを意味する。

 3Dプリンターで製造したクルマが従来のクルマと同等の性能やコストを持つようになると、メーカーにとっては大きな脅威だ。しかし、3Dプリンターで車体を造ることにはまだまだ課題がある。

 車体に使用する材料は、13~20質量%の炭素繊維を入れたABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)で構成される。これを熱溶融積層法(FDM)によって、約44時間かけて212層積層して車体を造る。

 こうして成形した車体の質量は700kg以上あるという。同社によれば、いずれ鋼製の車体と同等の強度を実現できるとしているが、質量は鋼を使用したときより重くなってしまうという。これをどこまで軽量化、安価にできるかが3Dプリンターカー普及のカギとなる。