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「トヨタ流人づくり 実践編 あなたの悩みに答えます」では、日本メーカーの管理者や社員が抱える悩みに関して、トヨタ自動車流の解決方法を回答します。回答者は、同社で長年生産技術部門の管理者として多数のメンバーを導き、その後、全社を対象とする人材育成業務にも携わった経歴を持つ肌附安明氏。自身の経験はもちろん、優れた管理手腕を発揮した他の管理者の事例を盛り込みながら、トヨタ流のマネジメント方法を紹介します。
悩み
課長として数十人の部下の管理を任されています。モチベーションを高めるために、できる限り部下の話に耳を傾けるように努めており、新しい提案は極力採用するようにしています。しかし、逆に厳しく接するのは苦手で、そのせいなのか、部下から少し甘く見られている気がします。例えば、勝手に動いて失敗したような場合でも言い訳する部下が多いのです。効果的な叱り方があったら教えてください。

編集部:部下を叱る。時には必要だと思いながらも、「苦手だ」「できない」と思っている管理者は多いのではないでしょうか。叱ることは、褒めることよりも、ずっと難しいと思います。トヨタ自動車の部長を経験したあるOBを取材した際に、そのOBは「自分よりも年上の部下を初めて叱った時、緊張や怖さの入り交じったなんとも言えない複雑な感情を覚え、足が震えて汗でびっしょりになった。その時に、自分は部長という職位の責任の重さを痛感した」と語っていました。実に重い言葉で、強く印象に残っています。今の時代は教育環境の違いもあって、ひょっとすると、叱る経験だけではなく、叱られた経験もほとんどない人の方が多いのかもしれませんね。

肌附氏— 叱ることは実に難しい。その通りです。部下を叱るにはとても勇気が必要です。それまで良好だった人間関係を損なう危険性があるのですから。そのためか、最近は「部下に嫌われたくないから叱らない」と安易に考える管理者が増えています。

 これまでに私は、管理者は部下を「ねぎらう」ことが大切だと何度も述べてきました。部下にねぎらいの言葉を掛け、褒めて伸ばすことはトヨタ自動車の管理者にとってマネジメントの基本であると言っても過言ではありません。しかし、同時に、部下に接する際には優しさが7割、厳しさが3割とも言ってきました。その3割の1つが、前回(2015年7月号の第13回)で紹介した、部下を崖っぷちに追い込む方法や、今回のテーマの叱ることです。

編集部:「叱らない方がよい。褒めて伸ばすべきだ」と言う人もいます。褒めるだけでよいのなら、それで済ませたいと思う管理者は多いことでしょう。しかし、部下を全く叱らないままだと、どうなってしまうのでしょうか。

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