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 アジア地域で行われているナノテクノロジー研究の情報交換を行うシンポジウム「ASIA NANO 2002」(http://nano.riken.go.jp:2002/)が,2002年11月27~29日の3日間,日本科学未来館(東京・江東区)で開催されている。これは,日本の文部科学省が中心となって推進している日本と海外とのナノテク研究における国際交流の一環。文部科学省ナノテクノロジー総合支援プロジェクトセンター,理化学研究所,科学技術振興事業団が主催している。中国,韓国,シンガポール,インドなどからナノテク研究の責任者クラスが来日。日本からは量子エレクトロニクス研究の世界的権威である東京大学生産技術研究所教授の榊裕之氏,中国からはナノテク研究の最高責任者である中国科学院副院長の白春礼氏らが参加し,最新の情報交換を行っている。


 初日の午前は,主催国である日本を代表し,理化学研究所フロンティア研究システム長の丸山瑛一氏,文部科学省大臣官房審議官の坂田東一氏,続いて日本科学未来館館長の毛利衛氏(写真)が歓迎の挨拶を行った。坂田氏は,ナノテク研究では国境と学問の境界を取り除いたinter-disciplinary(学際的)な情報交換が必要であると強調。毛利氏は,もともとの専門分野が電子顕微鏡を用いて材料表面を原子レベルで分析・評価するナノテク研究だったことを紹介し,この分野の発展に対して応援するスピーチを行った。


 文部科学省は11月に入り,英国(2002年11月7日付の記事参照),ロシア(同),それにイタリア(2002年11月25日付の記事参照)と,相手国別にナノテクシンポジウムを相次いで開催した。2003年には1月に日米間,3月に日仏間のシンポジウムが予定されている。それぞれの国がナノテクに対して特色のある取り組みを行っているため,全世界と同時に交流するより,国別に進める方が有効であると文科省は判断したようである。ちなみに,日本から見て英国は基礎科学の強い国,ロシアは研究を安価に委託できる優秀な科学者が大勢いる国,イタリアは構造材料の研究に強い国という異なった特徴がある。


 アジア地域に関しては,日本と同様に技術立国を目指す国々が多く,日本と似通った内容のナノテク研究が行われている。ナノテク全般に情報交換できるとともに,良い意味で互いに切磋琢磨するコンペティターになるとも予想される。(日経ナノテクノロジー 黒川 卓)

【写真】シンポジウムで挨拶した日本科学未来館館長の毛利衛氏。ナノテク研究者であり,日本人として初めて米国NASAのスペースシャトルに搭乗した宇宙飛行士でもある
【写真】シンポジウムで挨拶した日本科学未来館館長の毛利衛氏。ナノテク研究者であり,日本人として初めて米国NASAのスペースシャトルに搭乗した宇宙飛行士でもある