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 オリンパス光学工業は,再生医療事業に参入することを,2002年11月27日に発表した(写真)。まず,2006年末から培養骨の販売を開始する。培養骨は,骨髄液から採取した間葉系幹細胞(骨細胞などに分化する前の細胞)を培養して骨細胞に分化させたもの。骨を欠損した患者への移植手術に,本人の骨髄液を用いて作製した培養骨を提供する。また,培養に用いる「多検体自動細胞培養装置」を,広島大学の研究グループがスピンオフして設立したベンチャー企業のワンセル(本社広島市)と共同開発し,自社内で培養骨を生産するのに利用するほか,社外への販売も予定している。培養骨と多検体自動細胞培養装置の販売を合わせて,「今から10年後の2012年度には,100億円の売上を目指す」(同社医療システムカンパニーの取締役常務執行役員である寺田昌章氏)としている。

 すでに同社は,1999年から人工骨補填材「オスフェリン」を商品化している。これは人工骨として,患者の骨の欠損部に移植した後,自家骨(患者本人の骨)に置き換わるというもの。孔径100~400μm程度の多孔体で,材質はβ-TCP(リン酸三カルシウム)。「製法および気孔を形成する技術を特許として取得している」と,医療システムカンパニー医療新事業推進部長の水野均氏は説明する。

 このβ-TCPを,同社は培養骨の担体として使う。人工骨補填材としては,薬事法に基づく認可をすでに取得しているが,培養骨の担体としては,2003年秋をめどに培養骨の臨床試験を開始し,2006年の販売開始までには認可を取得できる見込みだという。価格は未定だが,「人工骨補填材の価格が現在,1cc当たり2万円程度。それよりも付加価値の高い培養骨の場合は,もちろん価格も高くなるだろう」(水野氏)。

 ワンセルと共同開発中の多検体自動細胞培養装置は,現状では100検体を3~4週間で培養できる。ほぼ1カ月に100人分以上,年間で1200人分以上の患者向けに培養骨を提供できることになる。

 日本における骨移植では,現状では自家骨や人工骨を用いている。自家骨を用いる場合は,採取および移植の手術おける患者のダメージや,採取できる量に限界があることなどが問題になる。人工骨を用いる場合は,骨再生に時間がかかるといった問題がある。そうした問題が,培養骨を用いることで解決できるという。

【写真】培養骨事業の概要を説明するプレゼンテーション資料
【写真】培養骨事業の概要を説明するプレゼンテーション資料
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