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 ナノバイオに関連した2002年の特許出願数ランキングでは,首位がロレアル,続く2位がヘンケルと,いずれも世界有数の化粧品会社だった。そのほか,抗原抗体反応などを利用するバイオセンシングなど分析・解析技術に関する特許出願も目立つ。一方,ドラッグデリバリーシステム(DDS)は,2001年に比べて出願数が大幅に減少している。先月のナノデバイス(2003年2月10日付に「上」「中」同月18日付の「下」を掲載)に続き,これらナノバイオに関する最新の特許動向について,今月も,世界40カ国以上における全技術分野の特許・文献に関した情報提供サービスを手掛ける英国のトムソンダウエント社の専門アナリストに解説してもらった。(本誌)

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 ナノテクノロジーをバイオテクノロジーや医薬品に応用した場合,体内の細胞組織を修復できる超小型ロボットや血流に沿って流れるスマートセンサーが長い間,有望視されてきた。このような技術の単純な形態が出現した当初は,ミクロンレベル(ナノメートルの1000倍)の大きさであった。しかも現在,このタイプのナノテクノロジーは,ほとんど実用不可能な状態であり,大部分はまだ研究企画段階にとどまっている。では,バイオテクノロジー関連企業は何を特許の対象にしようとしているのか・・・。答えは,現在需要が増大しているいわゆる「ナノ粒子」である。ナノ粒子には,HIV(エイズウイルス=ヒト免疫不全ウイルス)ワクチンから車両用塗料にいたるまで幅広い用途がある。

 ナノバイオ分野の特許出願数ランキング(図1)を見て最初に気がつくのは,世界有数の化粧品会社が上位を占めていることだ。ロレアルは,ナノ粒子の化学的性質を利用し,例えば,皮膚に浸透してビタミンなどの有効成分を徐々に放出できるような化粧品,シャンプー,洗剤などを開発してきた。このほかに,ナノ粒子を利用して界面活性剤の機能を向上させ,洗剤の洗浄力を高めることも可能である。ロレアルは,特許出願数を2001年の水準からさらに増加させ,ライバルのヘンケルを追い抜いている。ここで注目したいのは,2001年の時点では,ヘンケルとコグニス(元ヘンケル子会社)が,いずれもロレアルとトップの座を争っていたが, 2002年になると,コグニスの状況が一変してトップ10から完全に姿を消し,ヘンケルの出願数も減少したことである。

 同分野におけるナノ粒子の応用例として,効果がより高く,しかも長持ちする日焼け止め剤があげられる。これは,ナノ粒子のサイズが,有害な紫外線の波長よりも小さいために,皮膚を保護する効果が大幅に高まるという性質を利用したものである。(エド・ホワイト=トムソンダウエント社 アナリスト)

※〔最新ナノバイオ特許動向・中〕(2003年3月13日付)に続く

<参考>
トムソンダウエント社 http://www.derwent.com/
トムソンダウエント(日本法人) http://www.derwent.co.jp/
ナノテク特許・文献・特選されたウェブサイト情報収録のデータベース製品
http://www.derwent.co.jp/engineering/nanotec/index.html

【図1】2002年発行:ナノバイオ特許出願数ランキング上位10社。1件の発明が複数の国々に出願されている場合であっても,1件とカウント。出展: Derwent World Patents Index
【図1】2002年発行:ナノバイオ特許出願数ランキング上位10社。1件の発明が複数の国々に出願されている場合であっても,1件とカウント。出展: Derwent World Patents Index