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会見のために帰国した中村修二氏
会見のために帰国した中村修二氏
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 青色発光ダイオード(LED)に関する発明の対価をめぐり,2005年1月11日に中村修二氏と日亜化学工業の間で和解が成立したことについて,中村修二氏が2005年1月12日記者会見を開き,「日本の司法制度は腐っている。一連の裁判が終わったので言いたいことを言わせてもらう」と怒りをあらわにした。

 同氏は東京高等裁判所が6億857万円と示した対価について「東京地方裁判所が判断した600億円という対価があまりにも高く,その1/100の6億円程度が妥当だと数字を先に決めてから,それにつじつまが合うように貢献度などが算出されたもので根拠がない」と断言し,その判断に強い不満を示した(関連記事)。さらに,東京高等裁判所の裁判官に対して「審理のために用意した準備書面に目を通さないまま,和解勧告を出していることが最も腹立たしい。何のために分厚い準備書面を作成してきたのか分からない」と怒りが収まらなかった。

 中村氏は当初,「高裁の和解案が覆る可能性が1%でもあるならば,和解ではなく最高裁判所に上告して争いたい」と弁護団に強く求めたという。しかし,弁護側からは,(1)最高裁判所は法律論を示すだけで,東京高等裁判所の示した対価などの基準は変わらない,(2)最高裁判所が東京高等裁判所に対して差し戻し審議の判決を下すことは絶望的,というアドバイスにより「和解に応じるしか手段がなかった。何かあるなら教えて欲しい」(中村氏)と無念さをにじませた(関連記事)。

 同氏は,3年前に米国で日亜化学工業に秘密漏洩で提訴され,その後すぐに日本で日亜化学工業を反訴した。日米の両国で裁判を行ってきた経験から「日本の司法制度はおかしい」と今回の会見では何度も繰り返し述べた。特に,米国では裁判に当たり係争に関わる証拠をすべて原告と被告が開示するのに対し,日本の場合は都合の悪い証拠を提出する義務はなく,「個人は大企業に勝てない」とした。さらに「米国が陪審員制度により世論が反映されるのに対して,日本は裁判官だけの判断で決められてしまう」と述べた。

 一連の裁判について同氏は「東京高等裁判所の和解については完全な敗訴。だが,3年前に日亜化学工業を訴えたときから見れば,多くの企業が特許報奨金額について上限を撤廃するなど,大きな前進があった」と感想を述べた。今後の活動については「是非,新しい材料を使った発光デバイスを開発したい」と語り,「仕事は米国で,余暇は日本で日本料理や温泉を楽しむのがべスト」と心境を述べた。