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図1 この案内の看板に沿っていくと…
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図2 入り口付近から会場を眺めたところ。盛り上がってます
図2 入り口付近から会場を眺めたところ。盛り上がってます
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図3 サインをしていた女優さん
図3 サインをしていた女優さん
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図4 ほかの女優さん。たくさんいすぎて紹介しきれません…
図4 ほかの女優さん。たくさんいすぎて紹介しきれません…
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図5 WMV HDによるタイトルのデモ。米国では,2004年半ばあたりからHDTV画質でのタイトルの提供が少しずつ増えている。なお,右側の画像にはモザイク処理を施してあります…
図5 WMV HDによるタイトルのデモ。米国では,2004年半ばあたりからHDTV画質でのタイトルの提供が少しずつ増えている。なお,右側の画像にはモザイク処理を施してあります…
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図6 XTVのセットトップ・ボックス
図6 XTVのセットトップ・ボックス
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図7 こうしたメニューから見たい内容を選ぶことができる。ほかにもさまざまなディープなメニューが…
図7 こうしたメニューから見たい内容を選ぶことができる。ほかにもさまざまなディープなメニューが…
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 2005 International CESの最終日。昼過ぎになると,会場はすっかり「あぁ,長かったけど無事にやり終えた…」というムードに包まれ,中には早々と片付けに入るブースもあるほど。来場者もグッと少なくなり,前日とは打って変わって通路はスイスイ歩けるようになる。この,どこか寂しさのただようCES会場とまったく対照的に,溶けそうな熱気に包まれている場所があった。CES会場からタクシーで10分ほどのところにある「Sands Expo and Convention Center」だ。

 ここでCESとまったく同じ会期である2005年1月6日~9日に開催されていたのは「AVN Adult Entertainment Expo」である(図1)。そう,アダルト・ビデオ業界などを中心とする,この業界では米国最大をうたうイベントだ。今回は300以上の出展があった。

 アダルト業界の動向は,なかなか表立って語られることが少ない。しかし,オーディオ・ビジュアル関連の規格争いの趨勢を左右したり,最先端技術をハリウッドよりも早く導入する「新技術の実験場」となったりすることはよく知られている。そんな口実(?)の下,Tech-On!では特別取材班を差し向けることにした。

なぜかサッパリと健康的

 会場に入ってみると,その盛り上がりぶりはすごかった(図2)。通路は混み合っていて,簡単には前に進めない。この業界では大手のプロダクションが立派なブースを構え,大型のフラットパネル・ディスプレイを並べてプロモーションの映像をバンバン流している。

 ブースの受付のところには,たいてい長蛇の列ができている。有名女優などがサイン会を行っているからだ(図3,図4)。しかし世間一般のサイン会とはちょっと趣が違う。写真を撮りたいと頼むと,ポーズをとってくれたり,わざわざ密着してくれたりと,サービス満点の記念写真を撮らせてくれる。こういうわけで長蛇の列なのだが,そこにはなぜかサッパリとした健康的な空気が流れている。来場者には女性やカップルなどが信じられないほど高い比率でいて,過激なプロモーション映像に普通に見入っていたりする。日本ではこうはいかないだろうなぁとの思いを深くする瞬間だった。

「クオリティがすべてだよ」

 全体の雰囲気をつかんだあたりで,本来(?)の目的であるところの質問を,各社のブース担当者にぶつけてみることにしよう。「Blu-ray Disc」や「HD DVD」といった次世代光ディスクに向けた高画質コンテンツの提供予定や,対話的な操作によってコンテンツの再生を制御するインタラクティブ機能などの組み込み,インターネットを使った高画質コンテンツの配信といったことを,どのように考えているのかを聞くのだ。

 まず話を聞いたのは,米Lurid Entertainment社のCEOであるStuart Grant氏。同社は5つのDVDタイトルを出しているが,このうち4タイトルは,米Microsoft Corp.の「Windows Media Video(WMV)9」のHDTV仕様である「WMV HD」で符号化した映像データを収めている。会場では,通常画質のものとHDTV画質のコンテンツを並べて再生し,美しさを強調していた(図5)。「クオリティがすべてだよ。それを受け入れやすい価格で提供することを最優先している。テレビがどんどんHDTVになるのに,この業界がそちらにいかないわけがないね」。さっそくBlu-ray DiscやHD DVDのコンテンツを出す計画があるかどうかを別の担当者に聞いてみたところ「もちろん,そうした最先端の技術には遅れずについていくよ。でも,規格争いをしているからなぁ。ウチがタイトルを出すのは2006年か2007年だろうな」とのこと。インタラクティブ機能は重視しているかどうかという問いに対しては「魅力的だけど,それをやるとアフォーダブルな価格でタイトルを出せなくなる」と少し否定的な雰囲気だった。

「こういうのは簡単に見ることができないとね」

 次に話を聞いたのは米XTV, Inc.のブースで説明をしていた係員。同社は,世界初をうたうアダルト専用IPセットトップ・ボックスを使ったインタラクティブ・サービスを展開している。1カ月の利用料は29.95米ドルだ。なお,同セットトップ・ボックスは米Aeon Digital Corp.が提供しているようだ(図6)。

 同社が主張するXTVサービスの特徴は2つある。1つは「簡単」。インターネットを使った映像配信というと,現在はパソコンを使ったものが多く,さまざまなケーブルをつないだり,OSやアプリケーション・ソフトウエアの組み込みなど面倒な作業を強いられる。これに対して,このセットトップ・ボックスは「テレビ受像機と映像・音声のケーブルをつないでEthernetケーブルを差し込めば終わり。こういうコンテンツを見るのにパソコンの設定なんてしたくないだろ?」(説明員)。あとは,リモコンで視聴の操作ができる。

 もう1つの特徴はインタラクティビティ。例えば,メニューからリモコンで「胸」「足」といった部位を選ぶと,そこに関連した映像がすぐに出てくるといった具合だ(図7)。詳しい仕組みは話してくれなかったが,映像コンテンツごとに場面別のメタデータを付けていて,それを使って再生制御を行っているものとみられる。

いつまでもDVDのままではいられない

 この業界もハリウッドと同様に,海賊版や不正コピーの横行には頭を悩ませている。同展示会は今回で第7回を迎えるが,初めてオープニング・セッションを設けて米Adam&Eve社の創業者で社長のPhil Harvey氏が講演,こうした状況について話したほどだ。上述した以外にも,DVDディスクのスタンプを行っている会社や,DVDタイトルを容易にオーサリングできるシステムを出している会社の話などを会場内で聞くことができたが,単にこれまで通りのDVDタイトルを出していたのでは立ち行かなくなるという危機感は,まだ濃厚ではないものの業界の共通認識して感じとることができた。

 ただ,その具体策についての考え方は今のところ2つに分かれているようだ。1つはコンテンツのHDTV化で付加価値を増しつつ制作費はこれまで通りに抑えたいとする方向。もう1つはネットワーク配信やインタラクティビティの追加など,設備費や制作費をかけてでも従来ソフトとの差異化を図る方向である。いずれにしてもデジタル家電業界と二人三脚で進まないといけないのは確かで「Blu-rayとHD DVD,どちらでもいいのだが早く争いを解決してほしい」(大手プロダクション・ブースの説明員)という言葉は,ハリウッド各社が発する同じ言葉よりも切実感を持ったものに感じられた。