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決算発表の約1週間に業績予測の下方修正を明らかに
決算発表の約1週間に業績予測の下方修正を明らかに
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 「エレクトロニクス部門以外は,当初の想定通りなのだが——」。ソニーは2004年度第3四半期(2004年10月~12月)の決算発表を約1週間後に控えた1月20日,2004年度通期の連結業績の見通しを下方修正する発表会を開いた。2004年10月末の段階では7兆3500億円としていた2004年度の売上高の予想を7兆1500億円とし,さらに営業利益額の予測も同1600億円だったのを1100億円へと500億円引き下げた。

 同社は10月の時点でも,実は通期の連結売上高の予測を7兆5500億円から7兆3500億円へと減らしている(Tech-On!の関連記事)。営業費用に含まれる構造改革費も,1300億円を確保していたのを10月時点で1100億円にし,さらに今回,約100億円分削る。つまり,実質的な営業利益予測の減額幅は,500億円に100億円を足した約600億円になる計算だ。

 ただ,純利益については10月時点で1100億円としていた予測額を1500億円に引き上げた。しかしこれにしても,米国子会社の業績が堅調になったことを受けて繰延税金資産を計上し,税金を圧縮する効果であって(これまでは損失が続いていたので繰延税金資産を計上できなかった),本業の回復を素直に示しているわけではない。こうしたズルズルと進む業績予測の悪化は,同社が従来の予測を超えた厳しい環境にさらされていることを物語る。

「iPodショック」

 落ち込みの原因はエレクトロニクス部門にあるという。「カテゴリ別の詳細な報告は決算発表の場で」(同社)としながらも,薄型テレビやDVDレコーダ,ビデオ・カメラなどで大幅な販売価格の下落が起こったほか,携帯型オーディオ機器やパソコンなどの不振も加わって苦境が続いていることを明らかにした。「例えば薄型テレビの価格は年率換算で20%~30%も下落した。DVDレコーダにいたっては,同40%近い価格下落が起こった。ソニーの場合,こうした機器における部品の内製化率はまだ低いので,部品コストや製造コストの引き下げに限界がある」(同社)。

 携帯型オーディオ機器では,米Apple Computer, Inc.の「iPod」の快進撃などに押しまくられている。「先日のApple社の決算を見ると『iPod』は2004年10月~12月の四半期だけで,それまでずっと売ってきた累積販売台数に匹敵する数を一気に出している(関連記事2)。これだけでもソニーのMDウォークマンやCDウォークマンなどがいかに大きな影響を受けているか,分かってもらえると思う」(同社 執行役 副社長 兼 グループCSO&CFOの井原勝美氏)。

4つの施策で巻き返す

 こうした苦境を抜け出すため,同社は次の4つの改善施策を挙げる。第1に,ディスプレイ・ビジネスの強化。開発リソースなどをここに集中させ「液晶テレビやリアプロなどの画質・音質で感動をもたらすような製品をつくる」(同社の井原氏)。広い色再現性を備えるテレビの開発や,高階調に対応できる。さらにこれまでハイエンド品に向けてきた高画質・高音質化の技術を中小型のテレビなどにも適用してラインアップを広げる。液晶パネルや液晶ドライバ回路などの鍵となる部品の内製化を進め,シャーシの統一といった工夫も行う。

 第2に,カメラ系ビジネスに力を入れる。HDTV画質で撮影できる家庭用ビデオ・カメラのラインアップを2005年に広げるほか,磁気テープから記録型DVDへの転換をビデオ・カメラでも進める。「磁気テープを使う機種では,もう利益を出しにくくなっている」(同社)。

 第3に,携帯型オーディオに関連するビジネスの改革である。この分野ではApple社の事例を見れば明らかなように,音楽ソフトの配信サービスと,パソコンで動作する音楽ファイルの管理用ソフトウエア,それに魅力的な携帯型音楽プレーヤの3つがセットになっていなければならない。それに向けて設立したコネクトカンパニーの下,「SonicStage」の改良などを進めていて,「それぞれ個別に新しい発表をしていくが,2005年半ばくらいには3つのセットがそろって本領を発揮すると考えている」(同社の井原氏)。

 第4に,上述したような機器で他社製品と明らかな違いを演出するための半導体やキー・デバイスへの投資である。これは従来と変わらず推進していくとする。

第3四半期(2004年10月〜12月)の推定値
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エレクトロニクス製品が激しい波にもまれる
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同社が挙げた4つの改善施策
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