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シャープ製の「V603SH」。振ったり傾けたりして操作できる
シャープ製の「V603SH」。振ったり傾けたりして操作できる
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 ボーダフォンは2005年1月31日,シャープ製のPDC方式の携帯電話機「V603SH」を発表した。3軸地磁気センサと2軸加速度センサを集積したICを実装し,筐体を振ったり傾けたりすることで操作できるのが特徴。ボーダフォンが2005年2月中旬に店頭発売する予定である(PDF形式の発表資料)。傾きなどを検知するICは,ボーダフォンとトヨタグループの愛知製鋼が共同開発したセンサICである。同様の機能を備えた携帯電話機は,韓国Samsung Electronics Co., Ltd.が試作機を開発済み(Tech-On! 関連記事1)だが,商用化の時期は未定としていた。このままいけば,V603SHはSamsung社製の試作機より先んじて商用化にこぎ着けることになる。

筐体を傾けてメニュー操作

 V603SHには,センサICに連動した入力支援機能を備えている。例えば,メニュー画面の表示時にボールを転がす要領で筐体を前後左右に傾けると,それに連動してカーソルを4方向または8方向に移動できる。本体をあらかじめ指定した動作で振ると,個々の動作に対して割り当てたメニューやアプリケーション・ソフトウエアを起動する機能もある。

 ボーダフォンではV603SHの差異化を図るため,センサICの機能を生かしたゲーム機能を前面に押し出す。Javaアプリケーション・ソフトウエアによるゲーム2種類の体験版をプリインストールしている。筐体を振ることでボールを打つ仕組みのゴルフ・ゲームと,筐体の向きに連動してキャラクタが動く3次元アクション・ゲームである。V603SHでは内蔵のJavaアプリケーション・ソフトウエアのライブラリを拡張しており,センサICからデータを読み出すAPIを追加している。

地磁気3軸と加速度2軸を1チップで計測

 センサICに実装した地磁気センサは,磁気インピーダンス(MI:magneto-impedance)効果を使ったMIセンサ方式。これに加速度センサを加え,1チップに集積した。「3軸の地磁気センサと2軸の加速度センサを集積した製品は世界初」(愛知製鋼)としている。地磁気センサと加速度センサを各1チップずつ内蔵する場合に比べ,半分以下の実装面積で済むという。外形寸法は5.5mm×5.5mm×1.5mmである。ICに厚みがあるのは,内蔵している地磁気センサの長さが1mmあり,これを前後/左右に加え天地方向に実装する必要があるためという。「一般的に地磁気センサの長さを短くすると,誤差が増してしまう。携帯電話機の操作という用途を考えた場合,現行の技術ではこれ以上の薄型化は難しい」(愛知製鋼)。加速度センサが2軸であり,天地方向の測定ができないのは,実装密度の問題があるためと説明している。

 愛知製鋼は以前から地磁気センサICの開発に取り組んでいる(Tech-On! 関連記事2)。2004年には2軸の地磁気センサICを韓国メーカー2社に納入した実績があるという(同 関連記事3)。今回の製品の開発に際してはボーダフォンが資金援助したもようで,「ボーダフォン向けの携帯電話機以外には納入しない契約となっている」(ボーダフォン)。ボーダフォンは今後,自社ブランドで発売する他の携帯電話機にもセンサICを実装していく意向を示している。また「全地球測位システム(GPS)モジュールと組み合わせ,歩行者向けのナビゲーション・システムといったサービスも提供したい」(ボーダフォン)としている。

 携帯電話機以外の用途に向けては愛知製鋼が2005年2月から外販する。量産価格は「月産10万個の契約の場合,6米ドル~8米ドル程度としたい」(愛知製鋼)。愛知製鋼では自動車,オートバイ,船舶,ロボット,無線操縦のヘリコプターなどへの展開を検討している。

テレビ放送の録画やEPG機能も内蔵

 ボーダフォンはV603SHのほか,東芝製の「V603T」も2月中旬に発売することを発表した。いずれも地上アナログ・テレビ放送とFMラジオ放送のチューナを備える。放送の受信や視聴に加え,視聴中のテレビ番組を録画/再生する機能や,電子番組表(EPG)で番組の詳細を確認する機能などを備える。

ボーダフォンと愛知製鋼が共同開発したセンサの概要
ボーダフォンと愛知製鋼が共同開発したセンサの概要
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