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図1 エアコンの室外機での冷媒配管とモデムとの接続の様子
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図2 室外機の冷媒配管の拡大写真
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図3 配管伝送方式の原理
図3 配管伝送方式の原理
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 三菱電機は,2005年2月15日に開催した同社の研究開発成果披露会で,ビル管理システム向けの「無配線ネットワークシステム」を開発中であることを明らかにした。通信の実演も行った。同システムの特徴は,ビル内にめぐらせた空調用の金属製冷媒配管を通信の伝送路として使う点。壁に新たに穴を開ける工事などをなくせるというメリットがある。2007年~2008年の実用化を目指す。

 新システムは,ビルの外と各フロアを冷媒配管でつないでデータをやり取りする「配管伝送方式」と,フロア内で無線通信を行うための近距離通信技術を組み合わせたもの。近距離通信には今回,「ZigBee」を用いた。この仕組みを使って空調機や照明を遠隔操作する。

 配管伝送方式は,2MHz~10MHzの周波数帯域で計5本の搬送波を用いて最大400kビット/秒のデータ伝送速度を実現するもの。通信距離は150m以上である。空調用の配管は,一般に最長でも150m程度なので,この通信距離で十分だという。この通信方法は,ルネサス テクノロジが家庭の電力線通信向けに開発した「NILLC(non interference legacy line communication)」という技術の応用である(Tech-On!の関連記事)。

フェライト・コアで冷媒配管が通信路に「変身」

 今回の技術開発上のポイントは,そのままでは通信に使えない冷媒配管をわずかな変更で利用可能にした点。一般に空調用室内機は,それぞれ冷媒の行きと帰りの2本の配管で室外機に接続されている。ただ,この2本の配管は室内機,室外機のそれぞれの内部で電気的に短絡されている。このため,電気信号が配管をうまく伝播しないという問題があった。

 三菱電機はこの問題を,EMC対策用のフェライト・コアを配管の末端に配管を覆うように取り付けることで解決した。フェライト・コアは高周波の電気信号に対してインピーダンスを持つため,電気信号が室内機や室外機外部の短絡部分までは流れ込まないのである。これで2本の配管がそれぞれ独立した通信路として使えるようになった。これらの技術開発で国内15件,海外7カ国で特許出願中であるという。

 同社は神奈川県鎌倉市の情報技術総合研究所内のビルに同システムを導入し,2005年1月から実証実験を始めている。ルネサス テクノロジなどを通してネットワークLSIの開発も進めているという。