シャープは,温かい料理をそのまま保持するための保温室を搭載した定格内容積455L(リットル)の冷蔵庫「SJ-HV46J」を発表した。同社によれば,保温室の付いた冷蔵庫は初めてという。オープン価格だが,従来にない新しい機能を付けたため,同社は実売価格を23万8000円と高めに予測している。2005年3月11日に発売する。
シャープが「冷やすため」の冷蔵庫に「温めておくため」の保温室を付けたのは,作り置きの料理を温かいまま保持したいという要求があると見込んだためだ。同社がアンケートを行ったところ,「1週間のうち,家族揃って夕食を食べる日数は?」という質問に対し「1日~2日」あるいは「ほとんどない」という回答が50%を占めた。また,家族の夕食時間がバラバラになることに対して「作り置きする」人が90%以上だった。電子レンジなどで温め直すと揚げ物が油っぽくなるなど不満を感じる人が36.4%に達した。
保温室の温度は+55℃で,通常は+3℃の冷蔵室となっている。保温室の温度を+3℃から+55℃にするまでに約30分かかる。保温室はタイマー式になっていて,時間が過ぎれば保温室部分の温度は低下し,冷蔵室と同じになる。保温室のタイマー時間は4時間と8時間の2種類ある。保温に必要な電気代は4時間の場合で約5円,8時間の場合で約10円という。同社は,1000Wの電子レンジを5分間稼働する場合の電気代は約4円であり,今回の製品の保温室を4時間稼働した時とほぼ同等している。ここでいう電子レンジの稼働時間は夕食1食分の加熱時間の目安としている。ちなみに,保温室を使用しない場合の電力量は160kWh/年と他社の455L製品と同等である。
保温室の熱源には従来から冷蔵庫の霜取り用ヒーターとして使われているのと同じ,2重ガラス管ヒーターを採用した。当初,廃熱を利用するといった案もあった。しかし,廃熱の温度が熱源として使うには低いこと,コンプレッサが常時稼働している訳ではなく保温室を使いたいときに使えないこと,コンプレッサを加熱のために稼働すると消費電力が大きくなることから断念したという。
冷蔵庫に保温室を設置するため,冷却効率を上げることが難しかったという。真空断熱材を多く使ったほか,冷却回路に工夫を施した。保温室の冷却回路は独立にし,保温室につながる冷媒管には弁を付けた。保温室を+55℃にする時には弁を閉じる,保温室を急冷などに使う場合は弁を全開にする,といったように弁を開閉することで温度を調節する。