PR
図1 富士通と富士通プライムソフトテクノロジが開発した無線タグを使う位置情報検知システム
図1 富士通と富士通プライムソフトテクノロジが開発した無線タグを使う位置情報検知システム
[画像のクリックで拡大表示]

 東京ビッグサイトで開催中の展示会「IC CARD WORLD 2005」(2005年3月1日~4日)では,アクティブ型の無線タグを使った位置情報検知システムの出展が相次いだ。いずれも倉庫での商品管理,スーパーマーケットでの顧客の流れの把握,テーマパークなどでの迷子防止などが想定用途である。ただし,その実現方法はシステムごとにそれぞれ異なる。

 富士通とその子会社である富士通プライムソフトテクノロジは,微弱無線と2.4GHz帯の無線LANを組み合わせた位置情報検知システムを共同開発し,参考出展した。「こうした製品は世界で初めて」(富士通)だという。2005年夏に出荷予定である。

 同システムは,複数のリーダーとアクティブ型無線タグ,管理用サーバから成る。リーダーは315MHz帯の微弱無線と独自の2.4GHz帯無線LANという2つの無線インタフェースを備える。無線タグとは微弱無線で通信し,無線LANはほかのリーダーとの相互接続に用いる。

 無線タグの位置は,複数のリーダーが,タグが発信する電波の強さをそれぞれ測定し,それらのデータを管理用サーバで処理することで検出する。無線タグとそのリーダー間の通信距離は最大10m。位置の誤差はリーダーの数に左右されるが,1m~2mが目安であるという。無線タグの電池の寿命は「10秒に1度通信する設定で3年使える」(富士通プライムソフトテクノロジ)。

 2.4GHz帯無線LANの通信距離は50mである。リーダーは,ほかのリーダーとアドホックに無線LANを構成できるため,1辺が数十m~数百mと広いエリアのカバーも可能になる。「川原で,10台分のリーダーを数珠つなぎに接続して実験しても利用できた」(富士通プライムソフトテクノロジ)。

 管理サーバは,アドホック・ネットワークを構成するリーダーのいずれか1台と接続していればよい。サーバ・ソフトウエアの作り込みによっては,リアルタイムの位置検出のほかに,移動経路や場所ごとの滞留時間などを把握することもできる,とする。

タグも無線LANで開発した例も

 一方,米Cisco Systems,Inc.は,無線タグのインタフェースにも無線LANを利用する位置情報検知システムを出展した。無線タグのリーダーには,同社の無線LANアクセス・ポイント製品に,無線LAN技術のベンチャー企業である米AeroScout USA社の技術を組み込んだものを使う。無線タグが発信する電波の強さをそれぞれのアクセス・ポイントが把握することで位置を検出する仕組みである。「無線タグの電池の寿命は10秒に1度の通信で,1年半ほど。位置の検出誤差は5mぐらい」(シスコシステムズ)とする。

 ユニアデックスも,無線タグに無線LANを使う位置情報システムを展示した。このシステムは,フィンランドEkahau,Inc.のソフトウエアを利用したもので,無線タグ以外に専用のハードウエアは必要ない。市販の無線LANのアクセス・ポイント製品がそのまま利用できるほか,一般のパソコンやPDAもEkahau社のクライアント・ソフトウエアを組み込むことで「無線タグ」として利用できる。

 位置の検出は,富士通やCisco社とは逆に,無線タグ自身が,周囲のアクセス・ポイントのビーコン信号の電波強度を測定し,そのデータをサーバに送ることで実現する。位置検出の誤差は「0.5m~3m」(ユニアデックス)。データ処理のアルゴリズムを工夫して精度を高めた,とする。