PR

 「CGは,デザイン開発だけでなく,デザイナーとエンジニアのコミュニケーションツールにもなる」--スズキ デザイン・モデルグループ長井ノ口晃司氏は,2005年3月1日に東京で開催された「日本SGI ソリューション・キュービック・フォーラム2005」で講演し,大型スクリーンに実物大の3次元モデルを投影するシステムを導入し3次元モデルによる質感検討に取り組んでいることを明らかにした。同社が導入したのはグラフィックスコンピュータ「Onyx4」(米SGI社),高性能プロジェクタ「Mirage6000」,幅6000mm高さ2700mmの大型スクリーンで構成する「Power wall」システム。専用めがねによる立体視も可能だ。
 
 Power Wallの導入によって,クレイモデルなどの物理モデルを作成するまえに質感の把握や外観の細かな確認が可能になり手戻りが減った。例えば複雑な形状の部品を組み合わせるAピラーや,ヘッドランプ周りは部品の突き合わせ部に段差などができやすい。デジタルモックアップを作成し,こうした外観上の問題をあらかじめ3次元モデルを使ったレビューでチェックすることで,試作後の修正を削減できる。意匠性の高いエンブレムなどの確認にも利用している。複雑なエンジンルームも大画面で立体視することで構造をよく把握できるようになったという。「実物大で高品質の立体視は,経営幹部などへの訴求力も大きい」(井ノ口氏)という。
 
 さらに解析結果のレビューにも活用。空力解析の結果を複数の関係者でレビューすることで問題点をいち早く見つけ出せるようになった。このほか,工場のロボットシミュレーションなどにも活用している。同社は,提携先である米General Motors社に歩調を合わせメインの3次元CADとして「Unigraphics」を導入している。CG用ツールもGMに合わせ「Alias」をメインに使っているという。ただし,レンダリングアニメーションなどには「Maya」「3D Studio Max」「Opus Realizer Pro」なども利用しており,用途に応じて使い分けているようだ。