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ウィルコムの八剱社長。「自社バックボーン網の整備と都市部の基地局強化で,定額PHSに十分対応できる」
ウィルコムの八剱社長。「自社バックボーン網の整備と都市部の基地局強化で,定額PHSに十分対応できる」
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 ウィルコムは,公衆PHS網における音声通話の定額制サービス「ウィルコム定額プラン」を2005年5月1日に開始する。移動体通信で定額制の音声通話サービスを提供するのは日本初,世界でもほとんど例がない。月額2900円の定額料金を支払うことで,ウィルコムのPHS端末ユーザー相互間の音声通話が掛け放題になる。加入者からの申し込みは3月16日に始める(発表資料)。

 音声通話料のほか,ウィルコム定額プランに申し込んだPHS端末からの電子メール送信も無料となる。ウィルコムのPHS以外に対する通話は定額制の対象外で,固定電話またはIP電話への通話は30秒ごとに10.5円,携帯電話への通話は30秒ごとに13.125円となる。なお,一部のユーザーが回線を長時間占有するのを防ぐため,ウィルコムのPHS相互間の通話であっても,通話時間が2時間45分を超えた場合は超過分に対して30秒10.5円の通話料金を課金する。また通話時間が16時間を超えた場合は,回線を強制切断する。

 同社はデータ通信について,既に月額6090円という定額制の料金プランを提供中。2005年7月には,音声通話とデータ通信の双方で定額制を契約するユーザーに対し,月額5000円(音声通話2900円,データ通信2100円)とさらに割り引いた定額制のセット料金を適用する。今回の音声通話の定額制サービスと組み合わせることで,競合する携帯電話事業者などに対する差異化を図っていく考えだ。

 ウィルコムのPHSサービスの契約数は,2005年2月末現在で299万8200件。うち音声通話サービスの契約数は128万8000件である。同社では「サービス開始後早い段階で,PHSサービス全体の契約数で400万件を目指す」(ウィルコム 代表取締役社長の八剱洋一郎氏)。一方,契約者1人当たりの月額使用料を示すARPUは,定額制導入により最大で約1割の減少を見込む。「定額制導入に伴う契約者増により,売上高ベースでの現状維持は難しくない。ただし営業利益は従来の事業計画通りにいかない可能性もある」(八剱氏)と,利益率が低下する恐れを承知した上での定額制導入であることを示した。

新年度から基地局更新,10回線の同時通話可能に

 ウィルコムのPHS音声通話は,32kビット/秒の帯域を占有する回線交換方式である。定額制の導入に伴ってトラフィックの増加が予想されるが,同社では現有の通信網の改造により,ほぼ問題なく対応できるとみている。

 同社は2005年度に,基地局へ100億円,バックボーンの敷設に60億円の設備投資を実施し,定額制サービスの拡大に備える。基地局については,大都市圏を中心に既存の基地局設備の更新を進める。既存の基地局のほとんどは,同時通話可能な回線数が1基当たり3本にとどまる。これを,回線交換方式の音声通話で10回線,パケット交換方式のデータ通信で14チャネルの同時通信が可能な多チャネルの基地局に交換する。加えて,指向性の高いアンテナを備えた基地局を1カ所に数基設置するなどの高密度化により,大都市圏での契約者増に備える。

 同社は今後,法人営業を強化していく方針。基地局の更新作業は大都市圏のオフィス街を最優先として進めるほか,2005年夏には,建物内の壁や天井などへ容易に設置できる小型の基地局の設置を始める。今回の音声通話の定額制サービスと合わせ,企業内に設置してある固定網のPBXや内線電話を公衆PHSに置き換える提案をしていくという。

 バックボーンについては,現在のところ大半をNTTグループのISDN網に依存している。このためウィルコムのPHS相互間の通話でもNTTグループに対する接続料の支払いが発生し,通話料値下げの障害になっていた。同社この問題を軽減するため,IP(internet protocol)を用いた自社通信網への切り替えを順次進めている。音声サービスの定額制開始には間に合わないものの,2005年度末には全体の6割~7割のトラフィックを自社IP網に収容し,定額制の原資を確保するとしている。

「マイクロセルという特徴を生かし,トラフィックの集中を防ぎつつ定額制を導入できる。マクロセルの携帯電話事業者が定額制で対抗するなら臨むところだ」(八剱氏)
「マイクロセルという特徴を生かし,トラフィックの集中を防ぎつつ定額制を導入できる。マクロセルの携帯電話事業者が定額制で対抗するなら臨むところだ」(八剱氏)
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